「ワキガ」の悩みに終止符!? 臭いの原因菌を特定、ワキガ治療の光明となる研究結果

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大阪公立大学らの研究グループは、「ワキガの臭い物質生成に関わる菌を特定した」と発表しました。このニュースについて高藤医師に伺いました。

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監修医師:
高藤 円香(医師)

防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

研究グループが発表した内容とは?

大阪公立大学らの研究グループが発表した内容について教えてください。

高藤先生

今回紹介するのは大阪公立大学らの研究グループが発表した内容で、研究成果は学術誌「Journal of Investigative Dermatology」に掲載されています。

研究対象となったのは健康な成人男性20人で、カレースパイスのような臭いをもつ「Cグループ」11人、ミルクのような臭いをもつ「Mグループ」9人に分けられました。腋窩(えきか:脇の下のくぼんだ部分)サンプルの代謝物解析により、カレースパイスのような臭いをもつCグループで、腋窩の悪臭の原因となる代謝物の前駆物質が有意に増加していることがわかりました。さらに、腋窩サンプルのメタゲノム解析をおこなったところ、ブドウ球菌科の細菌がCグループで有意に増加していることも判明しました。

研究グループは今回の研究結果について、「皮膚科領域でも常在細菌叢が注目されていますが、腋臭症は細菌が主な原因となっている数少ない皮膚疾患の1つです。本研究が腋臭症のメカニズム解明や治療への手がかりとなると信じ研究を進めてきました。腋臭症で悩む患者さんは多いものの、治療の選択肢は少ないため、本研究が新しい治療法へとつながると考えています」とコメントしています。

ワキガとは?

今回の研究で取り上げられた、ワキガについて教えてください。

高藤先生

ワキガの正式な名称は腋臭症と言い、脇の下が特異な悪臭を放つ状態のことを指します。皮膚には2種類の汗腺があり、それぞれ「エクリン腺」と「アポクリン腺」と呼ばれています。脇の臭いの原因となるのは、主にアポクリン腺の分泌亢進です。アポクリン腺の発達には遺伝的なものやフェロモンとしての性ホルモンなどが関与しています。また、アポクリン汗腺からは、洋服などに付く黄ばみの原因物質も分泌されます。

ワキガの対策としては、こまめにシャワーを浴びたり、薬用せっけんを使用したりするなどの生活指導のほかに、塩化アルミニウムローションで汗の量自体を減らす治療や手術、マイクロ波などによる治療があります。

研究グループが発表した内容への受け止めは?

今回、大阪公立大学らの研究グループが発表した内容についての受け止めを教えてください。

高藤先生

多汗症に関しては保険診療でも使用可能な薬が発売されており、多汗を伴う場合には治療があります。しかし、そうでない場合の腋臭症の治療は手術など限られたものになります。そのため、原因遺伝子が見つかり、治療の糸口となる可能性のある報告は大変有用なものであると感じました。今後も研究が進むことを期待しています。

まとめ

大阪公立大学らの研究グループは、ワキガの臭い物質生成に関わる菌を特定したと発表しました。今回の発見が、ワキガで悩む患者さんへの新たな治療法につながることへの期待が高まります。

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