「 インフルエンサー はもう機能していない」 記者たちが耳にした小売企業の18のリアルな課題
いまは小売業界で働くには興味深い時代だ。
多くの消費者向け企業は資金調達に苦労しており、顧客獲得コストは高騰している。その一方で、ほとんどのブランドは何としてでも成長することよりも収益性を重視している。
このような話題は、米モダンリテールが4月15日から17日にニューオーリンズで開催したモダンリテールコマースサミット(Commerce Summit)の主要テーマだった。このイベントではトップブランドと小売業者が直面している主な課題を深く掘り下げ、もっとも適切な問題に対する解決策を模索した。
メインステージには、ボンバス(Bombas)、ケンドラスコット(Kendra Scott)、サートバ(Saatva)、ポッシュマーク(Poshmark)といった企業のトップが登壇した。またそれだけではなく、参加者たちは何がうまくいって何がうまくいっていないのかについて意見を交換した。
以下は、今回のサミットで耳にしたいくつかの発言である。これらの会話は発言者の名前や役職を明かさずに記者が発言を引用できる、チャタムハウスルール(Chatham House Rules)に従っている。
「どのチャネルに予算を投入すべきか、かなり悩んでいる」。
「お金を稼ぐにはお金がかかる」。
「私の知る限り、当社のCACは競合他社よりも約50%低い。だが依然として4カ月の損益分岐点で運営している」。
「当社は有料広告に多額の資金を注ぎ込んでいる。そのほとんどはFacebookだが、リターンを得るのは難しい」。
「当社にとって、ブランド認知度向上には非常に役に立ったが、実際のコンバージョンにはあまり結びついていない」。
「とにかく誰もがTikTokを利用すべきだという雰囲気がある。しかし今は、TikTokに進出したからといって皆が言うような成長が必ずしも見られるわけではない」。
「最初は非常にゆっくりだったが、今では当社のドットコム売上の50%を占めている」。
「TikTokでは、ほかのプラットフォームよりも勝負する必要がある。TikTokからのメリットを得る前に、まずこちらがTikTokに投資しなければならない。だがそうすれば、TikTokは非常にうまく機能する……TikTokから、自社のブランドメッセージと一致するかどうかわからないことをするように促されたときは、TikTokはスケーリングのために適切なことをするようにとこちらを駆り立てているのだ」。
「15歳は気まぐれだ。(ブランドが)トレンディで楽しくあり続けるのは簡単ではないが、当社は多くのUGCから恩恵を受けており、多くのインフルエンサーは我々の活動をとても気に入ってくれている。その状況がなくなったら、どうなるのかはわからない」。
「インフルエンサーはもう機能していない。インフルエンサーのための予算をばっさり削減した」。
「インフルエンサーマーケティングに何十万ドルも費やしたという理由から、インフルエンサー予算を削減した……私が雇った100人のインフルエンサーに対して、十分な収益を上げたのはそのうちのおそらく5%ほどだろう」。
「当社は有料インフルエンサーの規模を大幅に縮小して、ギフティングに切り替えた。これは次にやるべき新しいことだ」。
「これまですべての販売を、Facebookやインスタグラム、TikTokなどのソーシャルチャネルで行ってきた。言うまでもなく高い顧客獲得率を誇っている。しかし私がたどり着いた戦略は、ファンが自ら立ち上げたファンページを通じて、その熱狂的なファンを活用することだ」。
「ブランドがコミュニティフォーラム上で好きなものについて話し、盛り上がっている一方で、そのブランドの洗練されたサイトではそのようなことは一切掲載されてないというギャップが多く見られる」。
「当社はReddit(レディット)に広告を出しているが、実際、非常に素晴らしい結果が得られている」。
「データの多くはほとんど不透明なものだ。口コミが最良のマーケティングだと言われているのと同様に、購入後にアンケートを実施することが、顧客とやりとりする上で非常に有益な方法であることを突き止めた」。
「ブランドボイスは実在しない」。
「小売業での売上は大きいのだが、その売上がどこから来たのかを知るのは難しく、アトリビューションの問題を抱えている」。
[原文:‘Influencers are not cutting it’: Overheard at the Modern Retail Commerce Summit]
CALE GUTHRIE WEISSMAN AND MARIA MONTEROS(翻訳:ぬえよしこ、編集:都築成果)
Image via Ivy Liu
多くの消費者向け企業は資金調達に苦労しており、顧客獲得コストは高騰している。その一方で、ほとんどのブランドは何としてでも成長することよりも収益性を重視している。
このような話題は、米モダンリテールが4月15日から17日にニューオーリンズで開催したモダンリテールコマースサミット(Commerce Summit)の主要テーマだった。このイベントではトップブランドと小売業者が直面している主な課題を深く掘り下げ、もっとも適切な問題に対する解決策を模索した。
以下は、今回のサミットで耳にしたいくつかの発言である。これらの会話は発言者の名前や役職を明かさずに記者が発言を引用できる、チャタムハウスルール(Chatham House Rules)に従っている。
顧客獲得コストの高騰について
「どのチャネルに予算を投入すべきか、かなり悩んでいる」。
「お金を稼ぐにはお金がかかる」。
「私の知る限り、当社のCACは競合他社よりも約50%低い。だが依然として4カ月の損益分岐点で運営している」。
「当社は有料広告に多額の資金を注ぎ込んでいる。そのほとんどはFacebookだが、リターンを得るのは難しい」。
TikTokとTikTokショップについて
「当社にとって、ブランド認知度向上には非常に役に立ったが、実際のコンバージョンにはあまり結びついていない」。
「とにかく誰もがTikTokを利用すべきだという雰囲気がある。しかし今は、TikTokに進出したからといって皆が言うような成長が必ずしも見られるわけではない」。
「最初は非常にゆっくりだったが、今では当社のドットコム売上の50%を占めている」。
「TikTokでは、ほかのプラットフォームよりも勝負する必要がある。TikTokからのメリットを得る前に、まずこちらがTikTokに投資しなければならない。だがそうすれば、TikTokは非常にうまく機能する……TikTokから、自社のブランドメッセージと一致するかどうかわからないことをするように促されたときは、TikTokはスケーリングのために適切なことをするようにとこちらを駆り立てているのだ」。
インフルエンサーマーケティングについて
「15歳は気まぐれだ。(ブランドが)トレンディで楽しくあり続けるのは簡単ではないが、当社は多くのUGCから恩恵を受けており、多くのインフルエンサーは我々の活動をとても気に入ってくれている。その状況がなくなったら、どうなるのかはわからない」。
「インフルエンサーはもう機能していない。インフルエンサーのための予算をばっさり削減した」。
「インフルエンサーマーケティングに何十万ドルも費やしたという理由から、インフルエンサー予算を削減した……私が雇った100人のインフルエンサーに対して、十分な収益を上げたのはそのうちのおそらく5%ほどだろう」。
「当社は有料インフルエンサーの規模を大幅に縮小して、ギフティングに切り替えた。これは次にやるべき新しいことだ」。
コミュニティへの投資について
「これまですべての販売を、Facebookやインスタグラム、TikTokなどのソーシャルチャネルで行ってきた。言うまでもなく高い顧客獲得率を誇っている。しかし私がたどり着いた戦略は、ファンが自ら立ち上げたファンページを通じて、その熱狂的なファンを活用することだ」。
「ブランドがコミュニティフォーラム上で好きなものについて話し、盛り上がっている一方で、そのブランドの洗練されたサイトではそのようなことは一切掲載されてないというギャップが多く見られる」。
「当社はReddit(レディット)に広告を出しているが、実際、非常に素晴らしい結果が得られている」。
覆される俗説について
「データの多くはほとんど不透明なものだ。口コミが最良のマーケティングだと言われているのと同様に、購入後にアンケートを実施することが、顧客とやりとりする上で非常に有益な方法であることを突き止めた」。
「ブランドボイスは実在しない」。
「小売業での売上は大きいのだが、その売上がどこから来たのかを知るのは難しく、アトリビューションの問題を抱えている」。
[原文:‘Influencers are not cutting it’: Overheard at the Modern Retail Commerce Summit]
CALE GUTHRIE WEISSMAN AND MARIA MONTEROS(翻訳:ぬえよしこ、編集:都築成果)
Image via Ivy Liu