複数のゲームスタジオを閉鎖したMicrosoftが人員削減を計画していることが判明、一方で「Hi-Fi Rushのようなゲームが必要」とも
Microsoftのゲーム部門であるXboxがコスト削減の一環として複数のゲームスタジオを閉鎖しましたが、さらに子会社のプロデューサーを含めた複数のスタッフに自主退職を勧めており、さらなる人員削減を計画していると報じられています。
Xbox Studio Closures: Microsoft Plans More Cost-Cutting Measures After Layoffs - Bloomberg
Microsoft says it needs games like Hi-Fi Rush the day after killing its studio - The Verge
https://www.theverge.com/2024/5/8/24152137/xbox-hi-fi-rush-tango-gameworks-matt-booty
2024年5月7日、2020年に75億ドル(約1兆1600億円)でMicrosoftに買収されたZenimax傘下のゲームスタジオ3社がX(Twitter)で閉鎖を発表しました。
Microsoftが「Redfall」「サイコブレイク」「Ghostwire:Tokyo」などを手がけたベセスダ・ソフトワークス傘下の複数のゲームスタジオ閉鎖を決定 - GIGAZINE
「Ghostwire: Tokyo」「Hi-Fi Rush」を開発したTango Gameworksは閉鎖。「Hi-Fi Rush」は引き続きマルチプラットフォーム展開が行われ、今後もプレイできるとのこと。
pic.twitter.com/KhhqgR902g— Tango Gameworks (EN) (@TangoGameworks) May 7, 2024
「Redfall」を開発したArkane Austinは、閉鎖後に一部メンバーが別プロジェクトに合流する予定。
Signup here https://t.co/wb1R4m4emj to receive details on how eligible players can receive this credit. pic.twitter.com/69Os17kpQ8— Arkane Studios (@ArkaneStudios) May 7, 2024
「Mighty DOOM」を開発したAlpha Dog Gamesも閉鎖し、Mighty DOOMは8月7日に提供終了となります。また、Roundhouse Gamesは閉鎖されないものの、Zenimax Online Studiosに吸収される形となるそうです。
Players interested in requesting a refund for purchased in-game currency can sign up here https://t.co/R7rL4LKsjk to receive details. pic.twitter.com/9g3kBoRGVw— Alpha Dog Games (@AlphaDogGames) May 7, 2024
さらに関係者によると、ZeniMaxのプロデューサーや品質保証テスター、その他のスタッフに対して自主退職が促されたそうです。Xboxのスタジオ責任者であるマット・ブーティ氏は「パンに塗ったピーナッツバターのように、スタジオが薄く広がり過ぎていました」と述べ、一部のスタジオを閉鎖することで他のプロジェクトにリソースを集中する狙いがあることを明らかにしました。Xboxのこの動きは、パンデミック期の急成長に続く経済環境の変化による、ゲーム業界全体の縮小の一環でもあります。Microsoftは2021年以降、ZeniMaxとActivision Blizzardの買収に合計760億ドル(約11兆8000億円)以上を投じ、他社よりも大幅にゲーム部門を拡大してきましたが、その分ゲーム事業に対する社内の目も厳しくなっています。
Xboxは近年、サブスクリプション型ゲーム配信サービス「Xbox Game Pass」に力を入れてきましたが、期待されていたほどの大きな成長は見られていません。アナリストによると、アメリカにおける月額制ゲームサービスの支出は2021年半ば以降、横ばいか低い伸びにとどまっているとのこと。Xboxの責任者であるフィル・スペンサー氏は、「業界に関して私が最も懸念しているのは、成長の欠如です」とコメントしました。
ブーティ氏は、「Fallout」シリーズや「The Elder Scrolls」シリーズ、「DOOM」シリーズで知られるZeniMax傘下のBethesda Gamesに大きな期待を寄せていることを従業員宛てのメールに記していたとのこと。さらに、ゲームスタジオが複数閉鎖した翌日の2024年5月8日に、ブーティ氏はZeniMaxのスタッフとのオフミーティングで「名声や賞を与えてくれる小規模なゲームが必要」と発言し、さらに閉鎖したTango Gameworksの開発した「Hi-Fi Rush」を称賛したとのこと。Tango Gameworksが閉鎖したばかりであることを知るスタッフはブーティ氏の発言に驚いたそうですが、「Hi-Fi Rush」は続編も企画されていたとのことで、IT系ニュースサイトのThe Vergeはブーティ氏の発言がこの続編開発を継続することを匂わせたものである可能性を指摘しています。
ZeniMaxのスタジオ責任者であるジル・ブラフ氏は「今回の再編によって、『Fallout』や『DOOM』シリーズのプロジェクトにより注力できるようになることを期待しています」とコメントしました。