妻「元カノと比べないで」→夫「言われないように気を付けな」 なぜ男性は妻に“元カノ”の話をするのか
夫婦になってからも元カレ、元カノの話をする人が一定数います。どちらかというと男性に多いイメージです。女性はそっと心に秘めておくか、女性同士の会話にとどめています。夫に嫉妬心を抱かせたくて元カレ話をする妻もいますが、何度も言われたら嫉妬どころか「めんどくさ」という気持ちになってくるので要注意です。
今回は、なぜ男性はパートナーに元カノの話をするのか、一体どんな心理が働いているのか、「恋人・夫婦仲相談所」所長である筆者と一緒に考えてみましょう。
元カノの悪口を言うことで、間接的に妻を言い含めたい夫
宗助さん(33歳、仮名)は、何かというと妻の佳代さん(34歳、同)に元カノの話をするといいます。
「私が、夫が喜ぶことをしてあげたときに『うれしいよー。◯◯(元カノ)は絶対そういうことしてくれなかったもんなー』って言うんです。そういう比較発言をすることで私が喜ぶと思っているんですよね。歴代の彼女の中で私が一番だってことをアピールしているつもりなんだと思います。全然うれしくないんですけど」
冴香さん(39歳、仮名)の夫、孝之さん(40歳、同)は、自分が元カノからされた「腹の立った出来事」を、冴香さんに延々と話します。
「『◯◯(元カノ)とこの店に来たとき、“こんなことで並ぶなんて信じられない”とか言ってめちゃくちゃ不機嫌になってさ。せっかくの料理が全くおいしくなかった』とか言うんですけど、そんなこと言われたら『並ぶの嫌だな、別の店に行きたいな』と思っても言えなくなっちゃうじゃないですか。私に対して“◯◯してほしくない”っていうことへのけん制で元カノの話をするんです。ズルい伝え方ですよね」
この2つのパターンは、どちらも妻に対して「こうあってほしい」という願望を伝えるために、元カノを引き合いに出しています。妻を直接サゲる言い方ではないですが、言われた方は不愉快です。
元カノの名前を出すことで、女性がその当時のことをどれだけ想像できるのかを分かっていない男性です。「どうせご飯の後、あんなことやこんなことして遊んだんでしょ」という妄想気分になっても仕方ないですね。
そうかと思えば、あからさまに妻を元カノと比較するモラハラ夫もいます。
何かにつけて歴代彼女と妻を比べる夫
優香さん(32歳、仮名)の夫、新太さん(39歳、同)は、妻をサゲて元カノを引き合いに出します。
「ことあるごとに、歴代の彼女と私を比べるんです。『◯◯(元カノ)は指先まできれいだった。それに比べておまえのこの爪、何だよ。子どももいないうちから爪の手入れとか怠ってたらこの先どうなるわけ?』とか、細かなところまでいちいち比較します。
『△△(元カノ)はハンバーグのソース作るのがうまくて、俺が出資して洋食屋開こうかと思ったんだよな。君のハンバーグはお子さま味だ』とか、最低な言い方です。もう嫌気が差しました。だったら元カノの誰かと結婚すればよかったじゃないって話です」
新太さんは輸入雑貨店とカフェの経営者。女性にモテるタイプで、多くの浮名を流してきたそうです。優香さんはプロポーズされたとき、歴代彼女の中から自分が選ばれたのだと誇らしい気持ちになりました。しかし、結婚生活が始まってみれば何かと元カノと比較され、自尊心を傷つけられる日々。今、優香さんは少しでも有利に離婚できるように、新太さんの言葉をメモしたり録音したりして準備を進めています。
新太さんは、優香さんに「こうあってほしい」という希望を伝えたくて、妻を見下しながら元カノと比較しています。妻の気持ちを考えたことがないのでしょう。優香さんは、結婚初期はそんなふうに言われても、「そうはいっても私を選んでくれたのだから」と気持ちを奮い立たせていたそうです。
しかし、毎日毎日言われると、気持ちを鼓舞できなくなりました。「元カノと比べて話をするのはやめてほしい」と何度も話をしたそうですが、そのたびに「言われないように気を付けな」と言われ、諦めたといいます。
リクルートが行った調査データによると、39.3%の男性が「元カノを引きずった経験がある」と答えています。「引きずった経験はない」と答えた男性の割合が26.2%なので、男性はかなりの割合で元カノを引きずってしまうようです。
ただし、興味深いのは「元カノを引きずる」と「元カノが好き」が違うこと。同調査では、72.8%の男性が「『引きずる』と『好き』は異なると思う」と回答。さらに「元カノから復縁を迫られたらどうするか」という質問に「心が揺れる」と答えたのは30.4%でした。69.6%の男性が「心が揺れない」、80.7%の男性が「よりを戻したいと思わない」とそれぞれ回答したそうです。
夫が元カノの話をしたとしても、それは単なる昔話。元カノの話を堂々とするくらい妻のことを信頼している、関係が築けていると思っているのでしょう。しかし、そんな勝手な男心を受け止めるほど寛容な心を持つ妻はどれだけいるのか。
「嫌なものは嫌」としっかり伝えて、元カノ話が出たら罰金を取る! くらいの勢いで“イヤ度”を明確に伝えましょう。