青森山田時代は超高校級…「強気発言」の大物タレント、“U-23世代の顔”に至った所以
U-23アジア杯で躍動期待、松木玖生が示す「ピッチに立ったら戦う」覚悟
パリ五輪出場権を懸けたU-23アジアカップに臨む若き日本代表戦士たち。
選りすぐりのタレントたちが集うなかでも、この世代の顔と言っていい1人の男がいる。大舞台になればなるほど必ず結果を出す、松木玖生だ。
U-23日本代表のオープニングゴールはこの男からもたらされた。中国とのグループリーグ初戦の前半8分、右サイドでMF山田楓喜にボールが渡った瞬間、ファーサイドからゴール前のスペースを見つけ出しいて猛ダッシュ。そこに山田からピンポイントのクロスが届き、得意の左足で合わせた。
前半17分にDF西尾隆矢がレッドカードを受け退場。10人になったが、松木が真価を見せたのはまさにここからだった。
4-4-1のブロックで守るなか、松木は前からのプレスとプレスバックに全身全霊を尽くした。数的優位に立った中国の攻撃に苦しむなか、チームのために汗をかき、局面でのプレスでは「何がなんでも奪う」という気持ちを前面に出してボールに喰らいつき、マイボールになったらゴール前までスプリントを仕掛ける。
守備のアクセント、攻守の切り替えのスイッチ、そして最後まで追加点を狙う貪欲な姿勢。90分間、チームに前向きなアクセントを与え続けた。
青森山田高校時代から注目度で言えばこの世代ではナンバーワンだった。大物タレントとしてプロ入り後も輝きを放つ松木は強烈な左足と強気な発言、負けん気の強さばかりにフォーカスが当たるが、高校時代からチームのために守備面でハードワークができる献身的な選手であった。
「負けたくない気持ちは強くて、それは攻撃でも守備でもそう。誰かにボールを奪ってもらって、それを受けて自分の力を発揮しますよ、ではなく、自分で奪えて、かつ奪ったボールを自分でも仕掛けられるし、周りに（パスを）配って周りが力を発揮できるような選手になりたいんです」
チームのために自分に何ができるか。それは攻撃面ではなく、守備面にも反映され、かつこの考えが常にプライオリティーの1番にあるからこそ、松木はどのチームでもフィットすることができ、「ここぞ」という場面で力を発揮できる。
中国戦、決勝ゴールと10人になってからの攻守への貢献。これができるからこそ、松木はこの世代の顔であり続けている。もちろん、彼の真価が問われるのはまだまだこれから。アジアカップでパリ五輪出場権を掴むまでの道のりはまだまだ遠い。
過密日程の中で、初戦の中国戦で大きな消耗をしてしまったからこそ、ここからの戦いは松木にとっても過酷なものになるのは間違いない。だが、苦しい状況になればなるほど、力を発揮する彼には期待を抱かずにはいられない。
「ピッチに立ったら戦う以外選択肢はありません」
高校時代に口にしていたこの言葉を、カタールでもしっかりと表現し続ける。それが五輪出場権獲得の原動力となることは間違いない。（FOOTBALL ZONE編集部）
