1月18日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、派遣社員の時給上昇に関するニュースについて意見を交わした。

藤井氏「賃金として雇い主が払った分をだいぶ抜かれている」

人材サービス大手のエン・ジャパンが発表した2023年12月の派遣社員の募集時平均時給は、三大都市圏(関東・東海・関西)で前年同月比38円(2.3%)高い1684円だった。特に人材ニーズの高いIT系をはじめ、事務系、営業系などで上昇が目立ったという。派遣社員は増えているが、需要増加に追いつかない状況を映している。

19年12月の派遣時給は1569円で、4年間の上昇幅は115円(7.3%)に達している。企業は正社員の採用を本格化しているが、派遣社員の待遇が改善していることで、就業形態として派遣を選ぶ人はさらに増えそうだという見方も出ている。

寺島アナ「時給の上昇は、人材供給が需要拡大に追いつかない状況を映しているということなのですが、藤井さん、これはどうですか?」

藤井氏「これは二つ申し上げると、概して賃金が上がることは今の日本経済で一番必要なことですから大変結構なことだと思います。という一番目の当たり前のコメントがあるわけですが。もう一個のコメントはね、派遣の人って二つの組織に賃金を中抜きされてるんですね。
一つは政府なんですよね。僕らの賃金、全部政府に所得税という点でも中抜きされてるし、社会保険料っていう点でも中抜きされてるし、消費税っていう点でも実は中抜きされてるんですよね。政府にだいぶ搾り取られて残り滓を僕らは貰ってるっていうことなんですけど、派遣の場合は、そこで残った分からさらにまた派遣会社が搾り取るわけですよね。だから二重の中抜きをされて、その搾り滓の搾り滓を賃金で貰うわけですよ。
で、そこがちょっと上がりましたっていうことですから、そのちょっと上がった分に対応する中抜き分も増えてるっていうことなんですよ。だから、2019年から115円増えましたっていうことですけど、これ中抜き分が200円か250円かわかりませんけど増えてるわけですよ。だから、それはよろしくないんですよ。賃金としてせっかく雇い主が払った分をだいぶ抜かれてちょっとしかいってないから、だから派遣は少ないほうがいいですね」

寺島アナ「そういうふうに見なきゃダメだってことなんですよね?」

藤井氏「そうですそうです」