納得される「その後の対応」。「すぐに謝る」「ほとぼり冷めるまで待つ」だけではいけない!?
1月17日「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」(文化放送)、特集コーナーのテーマは「その後の対応」。不祥事などの問題収束につながることもあるが、再炎上してしまう場合も少なくない。実例も挙げながら、「その後の対応」について考えた。
西川あやの「いろんな『その後の対応』あると思うんですけど、ビジネス市場、最も優れた危機対応と呼ばれる『タイレノール事件』というものがあります。1982年、ジョンソン・エンド・ジョンソンを象徴する鎮痛剤の商品、タイレノールを服用したシカゴ周辺の人々が突然死を遂げるという事態が発生して、すぐ対応したと。情報公開の対応をまず行なって、衛星放送を使った30の都市への同時放送、専用フリーダイヤルの設置、新聞の一面広告、テレビ放映で、警告を知らせた。その事件のあと、いままでにないタイレノールのパッケージに着手し、異物の混入を防ぐために技術革新が行われたと」
石戸「これはけっこう有名な話でしょう」
西川「迅速な対策チームの設立、情報の全体公開、問題解決のための改善策の実施、この3つがうまくいっていたんじゃないか、と言われています」
石戸「回収すればいいってわけじゃない。『とにかく使わないでください』と呼びかけていくときに、かなりの労力を割いたというのはわかる。言い続けたというのと、やっぱり技術革新をしたというところでしょう。なんでこういうことが起きたかわかった、だから変えました、というところがワンセットですよ」
永井玲衣「確かに迅速な対策チームの設立というのは、企業ができることだし、すべきことですね。マフィン(昨年11月に起きたマフィン食中毒問題)の場合は個人のハンドメイドっぽいものだったから、たぶん『どうしていいかわからない』みたいになった。企業だからこそとれる、その後の対応というか。組織的にしていく、というのが鍵なんですかね」
石戸「ジョンソン・エンド・ジョンソンは当時から大企業だもん」
永井「情報の透明性ってなかなかとれないじゃないですか。チーム内で話し合って、慎重にやりたいから時間もかかる。そういうのって労力いりますけど、注力していこう、ということなんでしょうね」
西川「いろんなことが開示される、人の目や耳に触れる世の中になって、どうなったら信頼回復できる、『その後の対応、よかったね』と思われるでしょうか?」
石戸「タイレノール事件は『シンプルだった』というのがよかったと思う。『自分たちに非があるのはわかった』『いっさい服用しないでください』と呼びかけるというのはメッセージとして(伝わるのが)早いじゃないですか。原因がわかってくるのは、そのあとなんです。あやふやな段階でなんでもかんでも公開すればいい、というわけではない。責任の所在をまず認めて、然るべきメッセージを発信する、というのがよかったわけですよ」
永井「私がすごく素敵だと思った対応は、Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)の炎上からの回復。去年の4月でした。離乳食の無料提供を発表したら、『落ち着かないじゃないか』『ベビーカーがあるなんて』という反応があって。それに対して公式サイトで声明を出した。『私たち企業はこういうことを考えています』という信念を提示するって、いま私たちが企業として考えることを明らかにする、という意味での透明性じゃないですか。すごくいいなと。すぐに『すみません、すみません』、ほとぼり冷めるまで……じゃなくて」
石戸「そう、まったく! 特に企業の不祥事で、この間(かん)変わったのは、謝っておいてほとぼり冷めるのを待てばいい、というのが減ったこと。少しずつだけど。スープストックじゃないけど、炎上したからといって簡単には折れない。炎上しました、すみません辞めます、ということをしないで『自分たちは、こう』だと。それで売り上げが減ったらアレだけど、『姿勢がいいね』ということで開拓すれば企業としてトントンじゃないですか」
西川「企業の筋の通った感じが消費者に伝わると、それが謝罪であろうと理念の発表であろうと、感謝の気持ちであろうと、人々が納得していく印象はありますね」