「歯医者さんが怖くて通えない」 こんな時どうしたらいい? 歯医者が怖い・苦手な人の歯科医院選びや克服法を歯科医が解説

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大人になっても歯医者さんに苦手意識のある方は少なくありません。それでも痛みが出たら背に腹は代えられず、しぶしぶ通院するのがほとんどですが、なかには恐怖心が強くて歯医者さんに通えないという方もいらっしゃいます。そこで、歯医者さんが怖い方でも安心して通える歯科医院選びのポイントや苦手意識の克服法などを、ドルミーレデンタルオフィス表参道の鹿乃先生に聞きました。

監修歯科医師:
鹿乃 さやか(ドルミーレデンタルオフィス表参道)

日本歯科麻酔学会認定医。日本口腔顔面痛認定医。「日々の疲れを癒す、リラックスを追求した歯科治療」をコンセプトに、歯医者が怖い・苦手という方に静脈内鎮静麻酔を利用した歯科知用を提供している。

大人になっても歯医者さんが「怖い」「苦手」で歯医者に通えない! 考えられる原因を歯科医が解説

編集部

大人の方でも「歯医者が怖くて通えない」という方は実際に多いのでしょうか?

鹿乃先生

皆さんが思っている以上にそういう方は多いという実感があります。ただ、それは患者さん自身が悪いわけではないので、まずは大人なのに「申し訳ない」「恥ずかしい」とは思わないでほしいです。

編集部

歯医者さんが怖くて通えなくなる原因で考えられるのは何でしょうか?

鹿乃先生

理由は様々ですが、一番はやはり「過去の治療でのネガティブイメージ」によるものが多いように感じます。前の歯医者さんで痛みを訴えたのに「治療を止めてもらえなかった」「麻酔を足してもらえなかった」というのがその一例です。ほかにも、「前医が無口で怖かった」「こちらの話を全く聞いてくれなかった」なども要因にあります。このようなトラウマは子どもの頃だけでなく、大人になってからこのような対応をされて歯科医院に通えなくなる方も少なくありません。

編集部

過去に受けた治療で「歯医者が苦手になる」というのは何となくわかります。ほかにも、歯医者さんが怖い・苦手になる原因はありますか?

鹿乃先生

えずき(嘔吐反射)が強くて歯科治療が受けられない方もいらっしゃいます。歯ブラシもいれられないほど嘔吐反射が強く、「治療で器具を入れられるのが怖い」という理由で歯医者さんに通えないという方も少なくないようです。

歯医者さんが怖い・苦手な方でも安心して通える歯科医院とは? 条件や選び方を歯科医がアドバイス

編集部

歯医者さんが怖い・苦手という方でも安心して通える歯科医院選びのポイントを教えてください。

鹿乃先生

「治療中の痛み」に関しては、近年痛みに十分に配慮している歯科医院も多いので、そのような歯科医院を探していただきたいと思います。例えば、多くの方が苦手と感じる麻酔の注射についても、注射部位に表面麻酔(塗り薬)をしっかり行い、さらに極細の注射針や電動麻酔器を使っているところであれば安心です。また、歯を削る際に通常のドリル(タービン)ではなくレーザーで切削して痛みを抑えている歯科医院もあります。

編集部

痛みへの配慮を徹底している歯医者さんは安心感が持てますね。そのほかに、歯医者さん選びのポイントはありますか?

鹿乃先生

技術面の配慮ももちろん大切ですが、歯医者さんが苦手・怖いと感じている患者さんにとって一番重要なのは、やはりドクターやスタッフの人柄だと思います。基本的なことですが、「カウンセリングに時間をかけて話をじっくり聞いてくれる」「複数の治療法を提案してもらえて、自分で選べる」というのが大切ですね。

編集部

歯科治療に対する恐怖心が強い患者さんにとって、一番重要なのは「コミュニケーションの取りやすさ」ということでしょうか?

鹿乃先生

はい。当院にも治療が怖いという患者さんが多く来院されますが、そのなかには「話したいことはたくさんあるけど、怖くて話せない」という方も少なくありません。そのような患者さんに対しては、ゆっくりでもいいので話したいことを我慢せずに、その方のペースでお話しいただけるように努めています。そのうえで、こちらからも治療法をいくつも提案して、互いに相談しながら患者さんが納得いく方法を探していきます。

編集部

患者の立場としては「自分のことを理解してもらえる」というだけで、安心して治療をお任せできそうです。ただ、それでも「どうしても歯医者さんが怖い・苦手」という場合はどうしたらよいでしょうか?

鹿乃先生

歯医者さんに来ただけで動悸がする・冷や汗が止まらないといった重度の歯科恐怖症の方は自由(保険外)診療になりますが、「静脈内鎮静法」を導入しているクリニックで治療を受けるのも方法の1つです。静脈内鎮静法は体を眠っているときと同じ状態にして治療を行うもので、治療中の記憶はほとんど残らず、痛みを感じることもありません。また、使用する薬剤にはえずきを抑える効果もあるため、嘔吐反射が強くて歯科治療が受けられない方にもおすすめです。

動画配信やSNSの活用もアリ? 歯科医が教える歯医者さん苦手意識の克服法

編集部

歯医者さんが怖い・苦手という方が、自身でできる工夫や克服法があれば教えてください。

鹿乃先生

近年はSNSや動画を使って歯科治療に関する様々な情報を発信している先生も増えてきました。私も「歯医者さんが怖い」という方が少しでも減るように、恐怖心を与えないように模型を使って治療の流れや方法などを解説しています。そういう動画や情報を見て「歯医者さんってこういうことをするんだ」「思ったほど怖くないかも」と知っておくことも、恐怖心を克服する方法の1つだと思います。

編集部

確かに、知らない・わからないことが多いから「怖い」と感じる部分もあるので、歯科に関する情報にたくさん触れることは一定の効果があるような気がします。

鹿乃先生

あらかじめ動画を見て来院される患者さんは歯科医師の人物像を持って来院されるので、コミュニケーションもスムーズです。そのような情報に触れておくと、クリニックの雰囲気や歯科医とのフィーリングをつかむきっかけにもなります。動画やSNSなどで親近感があれば、来院へのハードルも少し下がるかもしれません。

編集部

最後に、読者へメッセージをお願いします。

鹿乃先生

繰り返しになりますが、大人だからといって歯医者が怖い・苦手だということを「恥ずかしい」「申し訳ない」と思う必要はまったくありません。そういう方は世の中にたくさんいること、さらにその方自身が決して悪いわけではないことはぜひ知っていただきたいと思います。最初は勇気がいると思いますが、この記事がその一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

編集部まとめ

大人になっても様々な事情で「歯医者さんに通えない」という方は一定数いらっしゃいます。ただ、治療に対する恐怖心の強い方に対して歯科医院でも様々な工夫を行い、安心して通院できる環境を整えていることがわかりました。近年はホームページ以外にも、歯科に関する情報が様々な場で発信されているので、そのような情報にも触れながら安心して通える歯科医院を見つけていきましょう。

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