ここまで拮抗した対決があったか? 阪神とオリックスの珠玉の攻防を物語る「3つのスタッツ」【日本シリーズ】
岡田監督と中嶋聡監督。ともに流れを呼んだ巧妙な采配を振るう戦術家に率いられたチーム同士の顔合わせは、前評判と違わぬ攻防となっている。(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext
連夜の激闘だ。11月1日に甲子園球場で行われた日本シリーズ第4戦は、熱狂的なファンの後押しを受けた阪神がオリックスに4-3でサヨナラ勝ち。勝敗を2勝2敗のタイに戻した。
【動画】これぞ4番! 土壇場で期待に応えた大山悠輔のサヨナラ打をチェック
王手をかけたいオリックスと連敗を避けたい阪神による手に汗握る攻防戦の決着がついたのは、3-3で迎えた9回裏だった。阪神は1死無塁の局面で近本光司が四球で出塁すると、続く中野の打席でオリックスが2度のバッテリーエラー。一気に近本が三塁まで進塁する。
一気にピンチになったオリックス。ここで中嶋聡監督は中野、そして森下翔太と2者連続で申告敬遠を命じる。そして1死満塁としたところで打席には大山悠輔。この日に4打数ノーヒットと低調だった“虎の4番”は勝負を懸けられ、「ランナーをかえすだけだった」(ヒーローインタビュー談)と奮起。相手右腕ジェイコブ・ワゲスパックの変化球を見極め、最後はフルカウントから内角に投じられたストレートをレフト前へとはじき返した。
阪神が接戦をモノしたが、オリックスも7回表に2点差を追いつくなど、まさに紙一重の勝負だった。そんな59年ぶりに実現した日本シリーズでの関西対決は、ここまで予想を超えるハイレベルな争いが連日のように続いている。
それを如実に物語るのが、両軍の主な攻撃スタッツだ。ここまでチーム打率(.259)、得点(16)、安打(35)といずれも全く同じなのである。抑えられたら、抑え返す、そしてわずかな隙も逃さない攻防を明確に示していると言えよう。
ここまで拮抗したシリーズがあるだろうか。連覇を目指すオリックスに、38年ぶりの日本一を阪神が食らいつくという構図が出来上がっている。また、野球の酸いも甘いも熟知する両指揮官の腹の探り合いのような采配も、ピリついた珠玉の攻防戦を演出している。頂上決戦にふさわしい展開だ。
お互いに一歩も引けを取らない対決は、どちらに勝利の女神がほほ笑むのか。緊張感が強まる攻防の行方を興味深く見つめたい。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]