オリックスの強さの裏側 日本シリーズ第3戦考察 球界OBから指摘された「中嶋采配のすごみ」とは

写真拡大

日本シリーズ3年連続となる中嶋監督の采配にも注目が高まっている(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

「SMBC日本シリーズ第3戦」は10月31日に阪神の本拠地甲子園で行われた。オリックスが5−4と僅差で振り切り、対戦成績を2勝1敗とした。

 先発の東晃平は大舞台でも動じなかった。育成出身、今季後半戦から頭角を現した右腕は持ち味の制球力を発揮し、5回5安打1失点と試合を作り、後続に託した。

【動画】頓宮裕真が会心の同点ソロホームラン!日本シリーズ第1号で流れを呼び込んだシーンの映像

 2回に1点を失った打線は1点を追う4回に、リーグ首位打者、頓宮裕真が今シリーズ両軍初アーチとなる同点ソロを放った。9月下旬に左足薬指骨折が発覚したときにはチームに衝撃も走ったが、手負いの状態でも気迫あるプレーでチームを鼓舞した。

 1−1の同点とした5回には相手先発の伊藤将司のバント処理のミスも突き、さらに3点を加点。7回は中継ぎの山岡泰輔が崩れ、1点差に詰め寄られるシーンもあったが最後は守護神・平野佳寿が締め、シーソーゲームをものにした。

 現役時代は大洋(現DeNA)で活躍、引退後は日本代表コーチも務めた野球解説者の高木豊氏は11月1日に自身のYouTubeチャンネルを更新。日本シリーズ第3戦の両チームの戦いぶりに言及している。

 高木氏が目を向けたのは、4回にソロホームランを放った頓宮の打撃内容だった。この日、シリーズ初の4番に起用された頓宮は2ボール2ストライクと追い込まれながらも外角の直球を捉え、センターバックスクリーン左へ鮮やかな本塁打を放った。この場面に関して高木氏は「まったく(頓宮の)タイミングが合ってなかった」と緩急を使って崩そうとしてきた阪神バッテリーの配球は間違っていなかったとした。しかし頓宮は粘りながら、本塁打としたことで「さすが首位打者」「ここらへんが1年間やってきた自信というか、首位打者の貫禄というか」「打った頓宮が素晴らしかった」と高く評価した。

 同時に指揮官の中嶋聡監督の采配で目を向けたのは5回のシーンにあった。1−1の同点で迎えた5回、先頭の紅林弘太郎が右前打で出塁、続く若月健矢が2ボールから中前打を放ち、エンドランをしっかり決め、無死一、三塁と好機を拡げた場面。このシーンに関して高木氏は2ボールからエンドランを仕掛けてきた中嶋監督に対して「キャッチャー出身の中嶋監督。配球まで読んでいるよね」とした。「必ずここでまっすぐ来るというのを(感じて)エンドランをかけている」と捕手出身の中嶋監督の読みの鋭さをたたえた上で「若月が見事決めている」と、起用に応えた選手も素晴らしいとした。若月はこの試合、捕手として3回に近本光司の二盗も阻止、6回にも犠飛をしっかり決めるなど、攻守で奮闘した姿を見せた。

 相手本拠地に移っての第3戦で価値ある勝利。初戦はエースの山本由伸で大敗したオリックスがここにきて盛り返してきている。とはいえ対する阪神も内容的には紙一重となっているため、第4戦以降の両チームの戦いぶりも引き続き、注目となりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]