休憩したいけどできない。休める場所が減った都会
10月23日「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」(文化放送)、特集コーナーのテーマは「ちょっと休憩したい!」。商業ビル内のイス、公園のベンチなど、休憩したくてもなかなか座れないことが多い。なぜ休憩場所をとりづらいのか、特に都会が抱える問題について語り合った。
西川あやの「あえて手すりを細かくしたベンチ、不自然な突起や形状によって休息しにくいように設置されたベンチが、公園やバス停など公共の場で増えています。路上生活者や野宿者を排除する目的で『排除アート』と呼ばれるようにもなりました。東京ではよく見かけますけど地元ではどうでしたか?」
山内マリコ「あまりないかな。(地元の)富山や地方都市は、そもそも『街』という感じのエリアが駅前だとかに限られて、ないんですけど、富山から東京に出てきたときに思ったのは、意外にも『東京は緑が多いな』と。富山にいたときのほうが身近に感じなかった。どこでもクルマで出かける生活なので。田舎で感じる居場所となると、ショッピングモールなど、本来なら行政が提供するようなところがインフラになりつつある、というのは感じました」
青木理「排除アートといっても、渋谷の周辺の広いスペースがあるところに石のオブジェがトゲトゲトゲ……って置いてあって。誰も座れないよ、というものを作るんじゃないだろう、と。でも最近地方に取材に行ってね。行政の人と話すんだけど、地方は過疎になっちゃっているから、どう人を集めようかと知恵を絞っている。先日取材に行ったある街は、市役所を建て直したんですよ。その周りにベンチや緑地みたいなところを作って」
西川「へえ~!」
青木「そこにキッチンカーみたいなものが入ってきてもいい、という場所を設ける。キッチンカーがあれば食べに来る人もいる、ベンチもある、緑地もある。一生懸命、人を集める場所を作ろう、という場所もある。一方で都市では……という話になってしまう。人が集まってのんびりする、疲れたらうたた寝する、という場所を排除する、というのは居心地の悪い街だろうと思います」
西川「再開発が進んでいるという実感はあるんですよ。平成初期なんかは家族でデパートに行くと休憩所があって自動販売機があって、お買い物をするお母さんを待つお父さんとかがいた。そういう室内のスペースも減っていて……」
青木「山内さんが言った、ショッピングモールの中にそういう代替スペースが増えている、というのはそのとおりだと思います。カフェやコンビニのイートインコーナーもあるけど、ショッピングモールも含めて、ハッキリ言えば『商売』でしょう? そこにお客さんを集めて、商売になるからそういう場所も提供しますよ、という資本の論理じゃないですか」
西川「何か購入しますからね」
青木「そう。何かを買ってくれる、買ってくれることを期待しつつの対価としてのコモンというのはある。ただそうじゃない、公共の場、憩いの場としてのコモンというものを排除し、商売している人が提供しているというのは、ある意味すごくイヤな街です(笑)」
西川「民間が商売のためにやっている、ってことになりますもんね……」
このほか、青木・山内がオススメスペースとして図書館を挙げ、公共の休憩スペースが減った根本的な原因を考えるなどした。詳しくはradikoのタイムフリー機能で確認してほしい。