土地や家を所有している場合、固定資産税を毎年納めなければなりません。しかし、うっかり忘れて納付期限を過ぎてしまうこともあるでしょう。払い忘れてしまった固定資産税は、どのように支払えばいいのでしょうか。また、固定資産税を納付しないとどうなるのでしょうか。

この記事では、固定資産税を払い忘れたときの対処方法や、払わないとどのような措置がとられるのか解説します。

固定資産税とは

固定資産税とは、固定資産にかかる税金のことです。固定資産には田畑や山林、住宅地などの土地のほか、住宅、店舗、工場などの家屋などが当てはまります。

なお、一般家庭が所有している自動車は固定資産ではありませんが、社用車や営業車など、事業のために購入したものは固定資産に該当します。事業用のパソコンも10万円以上であれば固定資産です。

固定資産税は地方税なので、固定資産がある市町村(東京23区は東京都)に納税します。自治体によって異なることもありますが、基本的に標準税率は1.4%です。

固定資産税は自主的に納付する

固定資産税は、基本的に自主的に納付する税金です。所得からの源泉徴収などはありません。支払いの時期になると納付書が送られてくるので、納付書の説明に沿って自分で支払う必要があります。

ただし、口座振替に対応している市区町村なら、口座を登録すれば次年度以降は自動引き落としが可能なところも少なくありません。納付に出向く手間や時間を省きたい人や、払い忘れを防止したい人は、口座振替を検討してみましょう。

固定資産税の支払時期

固定資産税の支払時期は市町村によって異なりますが、年に4回あります。分割納付の場合は第1期~第4期それぞれの期日までに、決められた金額を支払いましょう。

4期に分けるのではなく、一度にすべて支払う一括納付も可能です。ただし、その場合基本的に第1期の支払日期限までに納付する必要があります。一括納付の場合は、送られてくる納付書のなかから一括納付用を使用して支払ってください。

なお、口座振替での自動納付を選択している場合は、振替日に納税額が引き落とされます。残高が足りないと納税できないので、振替日までに残金を確認しておきましょう。

固定資産税の支払方法

固定資産税の主な支払方法には現金・口座振替・クレジットカード・電子マネー・スマホ決済アプリ・ペイジーがあります。

納付書が届いてから現金で支払う場合は、住んでいる地域の役場や銀行・郵便局の窓口に納付書を持参して支払いましょう。支払用バーコードがある納付書は、コンビニでも納付できます。口座振替に対応している地域なら、口座を登録しておけば自動納付も可能です。

電子マネーはnanaco・WAONなど、スマホ決済アプリはPayPay・LINE Payなどが利用可能です。また、公共料金や税金、保険金などの納付に利用できる決済サービスのペイジーでも支払えます。固定資産税の支払方法は市区町村によって異なるので、事前に確認しておきましょう。

固定資産税を払い忘れたときの対処法

固定資産税を支払わないまま納付期限が過ぎてしまった場合も、多くは最初に届いた納付書で納税可能です。万が一納付書を紛失してしまった場合は、固定資産の所在する市区町村に問い合わせれば、再発行してもらえます。

1日でも期限を過ぎると延滞金が発生しますが、1,000円未満なら請求されません。延滞期間が長いほど延滞金が加算され、1,000円以上になれば支払義務が生じるので、固定資産税の払い忘れに気づいたら早めに納付しましょう。

固定資産税の延滞金はどのくらい?

固定資産税の延滞金は、延滞額に年率をかけて算出します。2022年1月以降の年率は、納付期限の翌日から1ヶ月を過ぎる日までの期間は2.4%、1ヶ月経過後は8.7%です。

延滞金の計算式は、延滞額×年率×延滞日数÷365(日)で計算できます。
一例として、下記の条件で延滞金の計算をしてみましょう。

固定資産税:10万円
納付期限:2023年3月31日
実際に納付をした日:2023年6月30日
滞納日数:91日

1ヶ月以内分の延滞金(4月1日~4月30日分):100,000×0.024×30÷365=約197円
1ヶ月超過分の延滞金(5月1日~6月30日分):100,000×0.087×61÷365=約1,453円
延滞金合計:197+1,453=1,650円
※小数点第一位以下は切り捨て

延滞金は100円未満切り捨てとなるため、実際に支払う金額は1,600円です。なお、延滞金の年率は何年かごとに変わることがあり、正確な延滞金を計算するときには自治体のホームページを確認、もしくは問い合わせしましょう。

固定資産税を払わなかったらどうなる?

固定資産税を払わないと、行政によってさまざまな手続きがとられます。具体的にどのようなことが起きるのか、段階別に説明します。

督促状が届く
固定資産税を支払わなかった場合、納付期限から20日以内に督促状が届きます。これは地方税法と呼ばれる法律で定められている対応です。

督促状はとても重要な通知なので、滞納者に開封を忘れられたり、ほかの郵便物にまぎれて捨てられたりしないように、目立つ色や派手なデザインに加え、「至急開封」「重要」などと書かれた封筒に入っています。

固定資産税の払い忘れをしたときには、なるべく早く対処をすることが重要です。督促状が届いたらすみやかに開封し、すぐに中身を確認しましょう。

財産調査が行われる
督促状や催告書などが送られたり、差押予告がされたりしても固定資産税の納付がされない場合、財産調査が行われます。

財産調査は、給与や預貯金、そのほかの財産や生命保険など、納税対象者がどのような財産を持っているのかを調べるものです。調査先は金融機関・官公庁・勤務先・取引先など多岐にわたり、場合によっては自宅や事業所への家宅捜索で、換金可能な財産がないか探すこともあります。

財産調査は法律にのっとった処分であり、裁判所の令状が必要なく、滞納者に事前に知らされることもありません。勤務先や取引先に財産調査が入れば、第三者に税金の滞納が知られてしまいます。そのため、税金を払い忘れたときには、財産調査が入る前に対処したほうがよいでしょう。

財産が差し押さえられる
督促状や催告書などの催促にも応じず、固定資産税を払わないままでいると、滞納者の財産が差し押さえられます。具体的には督促状の発行から10日が経過した場合、地方税法に基づき滞納者の財産から強制的に固定資産税の徴収が行われる仕組みです。

差し押さえとなる財産は、土地・建物・自動車・などの不動産、預貯金・給与・生命保険金などです。差し押さえが決まると、これらの財産を滞納者が勝手に処分することはできません。差し押さえられた財産は換金され、支払われていない固定資産税にあてられます。

なお、1回の差し押さえで未納分に満たなかった場合は、追加で差し押さえが執行されることもあります。不本意な形で財産を失う前に、固定資産税などの税金はすみやかに納付しましょう。

まとめ

固定資産税とは、土地や家屋などの固定資産にかかる地方税です。払い忘れは延滞金がかかるだけでなく、放置すれば財産が差し押さえられてしまいます。

延滞金は納付期限後1日ごとに加算されますが、1,000円未満なら請求されることはありません。払い忘れに気づいたら、なるべく早く支払うことで、デメリットを最小限におさえられるでしょう。