統一教会2世ら「一刻も早く解散命令を」 遅れれば資金が韓国に流れる懸念も
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について、文部科学省が東京地裁に解散命令を請求する方針を固めたと毎日新聞などが報じたことを受け、高額献金被害や2世の救済を訴える元信者らは9月4日、「涙が出るほど嬉しい」「一刻も早く解散を決めてほしい」と話した。
立憲民主党などが行った国対ヒアリングで議員らの質問に答えた。所管する文化庁宗務課長も出席。報道の内容については明言を避けたが、一般的に進んだ場合の今後の手続きについて回答した。
●エイトさん「リミットは10・19」
国対ヒアリングに出席したのは、元妻が多額の献金被害に遭ったという橋田達夫さん(オンライン)、母親が1億円以上を献金して裁判中の中野容子さん(仮名)、元2世信者のもるすこちゃんさん(仮名)。いずれも国の動きが見えてきたことを好意的に受け止めたが、請求されたとしても実際に命令が出されるまでに時間がかかることについて懸念も示された。
もるすこちゃんさんは、数カ月前から先祖解怨(先祖を慰霊する祭事)のための献金は、韓国に直接持っていく形に変化していると説明。日本からの振り込みではないため、資金の流れが見えにくくなるように「教会側も対策を練っている」とした。
全国霊感商法対策弁護士連絡会の阿部克臣弁護士、ジャーナリストの鈴木エイトさんも出席。阿部弁護士は「被害者救済のためには、海外送金などを防ぐために財産保全が必要。解散しても資産が空っぽでは意味がありません」と強調し、秋の国会で特別措置法を議論するよう求めた。
エイトさんは、リミットとして「10月19日」を挙げた。岸田文雄首相が2022年、参院予算委員会で解散命令請求の要件に「民法の不法行為も入りうる」と述べた日で、それから1年を超えることはさすがにないだろうと話した。
●集団交渉の被害者は124人に
また、全国統一教会被害対策弁護団も同日、記者会見を開き、解散命令請求について言及した。弁護団長の村越進元日弁連会長が速やかな請求を期待したほか、副団長の紀藤正樹弁護士が「財産隠しの懸念もささやかれている。財産保全について迅速に国会で議論いただきたい」と注文した。
弁護団は、献金被害を訴える15人が新たに加わり、第5次の申し入れをしたことを明らかにした。これまで集団交渉の合計は被害者124人、請求額約39億5000万円となった。