「毎朝メモ帳に10のアイデアを書く」続けられる?
楽しんでたくさんのアイデアを生み出すために、起業家兼ベストセラー作家が使っているリストとは(写真:Rhetorica/PIXTA)
「いいアイデアが浮かばない」と悩んだことのある人は多いだろう。
これまで20以上もの会社を1人で、もしくは共同で設立してきたアメリカのヘッジファンドマネージャーで、起業家兼ベストセラー作家でもあるジェームズ・アルトゥーチャーは、そんな悩みをどう解決しているのか。
『「週4時間」だけ働く。』の著者として知られるティム・フェリスが、現代のパイオニア106人に成功の秘密を聞きまくってまとめた本『巨神のツール 俺の生存戦略』の『富編』の中から、紹介しよう。
作家としてどこに目をつけたか
(ティムから)ジェームズ・アルトゥーチャーはこれまで20以上もの会社を1人で、もしくは共同で設立してきた。17社は失敗に終わったものの、残りの3社が彼に数千万ドルの利益をもたらしてくれた。
ジェームズ:人は誰でも生きている間に2〜3ダースくらいは耐え難い痛みを経験するんだ。
みんな、その点では共通している。私は基本的にそういうことを書きたいんだ。
そして、自分がそこからどうやって回復しようとしたのかも書いてみたいと思ってる。
(ティムから)この言葉は、彼がどのようにして、他の作家たちが1000人の読者を獲得するよりも早く、無名の作家からのし上がっていったのかを説明してくれる。
ジェームズは、自分自身の痛みや恐れを掘り下げて、トンネルの先に見える明かりだけではなくて、真っただ中の暗闇まで書いてみせた。
これは、世にはびこる「世界は喜びにあふれている」と唱えながら、無理やり浮かべた笑顔で、ハイタッチをして歩き回る「指導者たち」を一掃した。
(ティムから)2007年以来、私のブログ記事で人気のあるものは、時間はほとんどかけていないけれど、私にとってはばつの悪いものばかりだ。
こういう記事を書くときには、いつも自分にこう問いかける。「懸命にもがいていることの、何が恥ずかしいんだろう? それについて、自分は何をしているんだろう?」
アイデアが10個出てこなければ、20個考えろ
(ティムから)ジェームズは、毎朝メモ帳にアイデアを10個書き出す習慣をすすめてくれた。
この方法は、あなたの中に眠っている「アイデア筋」を鍛えてくれるし、求めさえすれば、創造力が湧いてくるんだっていう自信にもつながっていく。
中身よりも、定期的に行うことが重要になってくる。
ジェームズ:仮に10個のアイデアが浮かばないときはどうすればいいだろう? ここにしかけがあるんだ。もし10個浮かばないなら、20個考えればいいんだよ……。
知らないうちに、自分で自分にものすごいプレッシャーをかけちゃっているんだよね。
完璧主義は、アイデア筋を鍛えようとしてるときには敵になるんだ……。
脳の働きが、君が傷つかないように守ってくれているんだ。そのアイデアで君が恥をかいたりしないようにね。
自分を馬鹿だと思ったり、羞恥心で苦しむようなアイデアを出さないように、守ってくれているんだ。この流れを断ち切るためには、あえて脳が悪いアイデアを思いつくように、仕向けないといけないんだよ。
仮に、君が本を書くためのアイデアを5個出したとしよう。どれもかなり良いアイデアだ。
そこで行き詰まってしまった……。そしたら今度は悪いアイデアを考えてみるといい。こんなのはどうだろう? 『ドロシーとウォール街の魔法使い』。
ドロシーが、カンザスでハリケーンに巻き込まれ、たどり着いたのがニューヨークのブロードウェイ、ウォール街のちょうどすみっこだった。
ドロシーは、『ウォール街の魔法使い』と呼ばれる人物(ゴールドマン・サックスCEOのロイド・ブランクファインのこと)を探し求めて、ウォール街を歩き回らないといけない。カンザスに帰るためにね。
そしたら彼は、ドロシーに、高頻度取引の金融トレーダーにならないか、と持ちかけた……
なんてくだらないアイデアだと思うだろう。
ジェームズ:よし、それじゃ次の15個のアイデアに取りかかろうじゃないか。
まず、紙を2つに区切るんだ。
1つは、アイデアを羅列したリスト、もう1つはファーストステップ(それを実現するための最初の一歩)についてまとめたリストだ。
覚えておいてほしい。ファーストステップだけを書くんだよ。だって、そのファーストステップが、君をどこへ連れていってくれるかは分からないだろう?
アイデアの良し悪しは気にしない
ジェームズ:ここで私のお気に入りのたとえを紹介しよう。リチャード・ブランソンのエピソードだ。
彼は、自分が乗ってる飛行機のサービスが気に入らなかったんだな。そこでこんなアイデアを思いついた。「新しい航空会社を作ろう」って。
一体どうやって、金もない出版社の人間にそんなことができると思う? 彼の最初の一歩がこれだ。
「ボーイング社に電話をかけて、飛行機を貸してくれるか聞いてみる」
どんなアイデアだって、壮大すぎて初めの一歩を踏み出せないなんてことはない。もし、初めの一歩が手ごわそうだったら、ちょっと簡単にしてみればいい。
そのアイデアの良し悪しなんて気にしちゃいけない。すべては実践あるのみ、なんだからさ。
ジェームズが使っている「10項目」リスト
(ティムから)ジェームズのリストに書いてあるのは、仕事関係のものだけではない。むしろ仕事に関するものの方が少ない。彼が詳しく話してくれた。
ジェームズ:1年で、仕事に関するアイデアを、3000件以上も思いつくのは大変だ。数個でも思いつけばラッキーってところかな。
これを楽しんでできるかが、カギなんだ。そうじゃないならやらない方がいい。
(ティムから)ここに、実際にジェームズが書いたリストのサンプルを紹介しよう。
・新しいものに書き換えることができる10の古いアイデア
・発明できる10個のくだらないもの
・自分が書くことのできる10冊の本
・グーグル、アマゾン、ツイッターなどに関する10のビジネス・アイデア
・アイデアを伝えることのできる10人の人間
・ポッドキャストで使える、または撮影できる映像の10のアイデア
・中間業者を取り除ける10の業界
・みんなは当然のように思っているけれど、同意できない10のこと など。
(ティム・フェリス : 起業家、作家)