(漫画:©︎三田紀房/コルク)

記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。

その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時に東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う「チームドラゴン桜」を作っています。

そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載(毎週火曜日配信)。連載を再構成し、加筆修正を加えた新刊『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』が、発売後すぐに3万部のベストセラーとなっています。第76回は、東大生の驚きの勉強法について紹介します。

この連載のほかの記事はこちらからご覧ください。

参考書や本はどこから読む?


みなさんは、本を読んだり参考書を使って勉強するとき、「どこから」読みますか?

おそらく多くの人は、前のページから順番に読んで勉強していくことが多いと思うのですが、実は意外と東大生は「その逆」が多いです。

例えば歴史の勉強は現代から遡って勉強していったり、国語や英語の文章でも最後の段落を読んだ後に最初の段落に戻ったり、「最初→最後」ではなく「最後→最初」で勉強する場合が多いです。

なぜこんな勉強法をやるのか? 今回はみなさんに、この「さかさ勉強法」をご紹介したいと思います。

まずは桜木先生がこの勉強法について触れているシーンをご覧ください。

※外部配信先では漫画を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください




(漫画:©︎三田紀房/コルク)




(漫画:©︎三田紀房/コルク)

いかがでしょうか。最後から「さかさ」に実践していくことで、「なんでそんなことが起こったのか?」という疑問を深掘りするように勉強することができるということでしたね。

これは実際とても有効です。「最終的にどうなったのか」「結論としてはどうなったのか」が見えていない状態で本や文章を読んでも、途中の情報はあまり頭に入ってきません。

極端な例ですが、「戦国武将の1人に織田信長という人物がいました」という情報があったとして、織田信長がそれから天下統一に大きく近付くということを知らなければ、「戦国武将の1人の名前」としてスルーしてしまいますよね。

これは歴史を例に出していますが、英語でも国語でも、どんな科目でも同じことです。筆者がなぜ今この話をしたのか、持ち出してきた具体例が何を示すためのものなのか、理解するためには結果がわかったほうが早い場合があります。

小説の伏線のように、結果がわからないとその情報が重要なのかどうかがわからない場合があり、だからこそ先に結末から読む勉強には意味があるのです。

情報は、その後の結果によってその濃度が濃くなったり薄くなったりします。だからこそ先に結果を知っておけば、どの情報が大事なのかわかるようになる、ということですね。

東大生の試験攻略法でも言えること

これは、東大生の試験攻略法にも表れています。

今はもう夏休みですが、高校3年生の夏休みには東大に合格している人のほとんどは「過去問」をベースにした勉強をしています。過去問は、受験勉強のゴールです。

後回しにして直前の時期にやる人が多いイメージがあるかもしれませんが、東大に合格する人はもうこの時期からとにかく過去問を解いて、「半年後にはこの問題が解けるようにならなければならないんだな」と確認しながら勉強をしているのです。

「今はまだ、過去問が解けないだろうし、普段通りに勉強しよう」と、準備をしてから過去問に触れる人は、間違っているわけではないのですが、効率が悪くなってしまうことがあります。

「どんな問題が出るか」がわかってから勉強したほうが、効果があるのは当たり前ですよね。普段の勉強も、「これ、この前の過去問にも同じような問題が出ていたなぁ」と確認しながら勉強したほうが、効果が出るわけですね。

ということで、さかさに勉強していくことにも効果があるという話でした。参考にしてみてもらえればと思います。

(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)