隣の車から「身を乗り出す子ども」をうつした動画がSNSで話題に どんな違反になる?
隣の車線を走行している自動車の窓から幼児が身を乗り出している様子を写した動画がツイッターで投稿され、話題となっている。
動画は、片側2車線以上ある一般道で、左側車線のドライバーが撮影したものとみられる。おしゃぶりを口にくわえる幼児の顔が窓からわずかに出ているほか、撮影者に向けて振っていた手はひじから先すべてがはみ出していた。助手席には母親らしき人物も座っている様子が確認できる。
この投稿に対して「可愛いけど窓は閉めたほうがいいね」「普通に危なすぎだろ」など厳しい声があがっている。法的にどんな問題があるのか。
●「身を乗り出す行為」はどのような違反?
自動車の運転者は、6歳未満の子供にチャイルドシート(幼児用補助装置)などを使用する義務を負っている(道路交通法71条の3第3項)。座席の構造や幼児の負傷、授乳等の必要性などの事情がある場合には、例外的に使用義務が免除される(同法施行令第26条の3の2の第3項)。
動画の幼児は6歳未満とみられる。助手席に大人が座っていたことから、チャイルドシートに座りながら身を乗り出していたとは考えにくい。使用義務が免除されるような事情がない限り、道交法違反に当たる可能性が高そうだ。
チャイルドシートの使用義務違反の違反点数は「1点」で(道交法施行令別表第1)、罰則や反則金はない。
窓から身を乗り出す行為については、道交法の規定を受けて(76条4項7号)、都道府県の公安委員会規則などで「道路における禁止行為」とされている場合がある。
たとえば、東京都では「みだりに車両等の中から身体若しくは物件を出すこと」が禁止されているほか(東京都道路交通規則17条4号)、神奈川県でも「進行中の車両等から、みだりに身体の一部を出し、又は物件を突き出すこと」が禁止されている(神奈川県道路交通法施行細則16条7号)。
違反した場合には罰則があり、「5万円以下の罰金」(道交法120条1項10号)と定められている。仮に裁判となって有罪判決が出ると、罰金刑は刑罰なので「前科」となる。
窓から身を乗り出せば、他の車両や飛来物などと接触することもあり大変危険だ。チャイルドシートにしっかり座らせて、子どもを危険にさらさないようにしたい。