「ばかなことをしました」文書偽造の弁護士、被告人質問で吐露 きょう2度目の退会命令
事務所の後輩からパワハラ被害を訴えられた裁判で虚偽の証拠を提出したとして、有印私文書偽造・行使などの罪に問われた弁護士・古澤眞尋被告人=業務停止中=の公判が6月27日、横浜地裁であった。
神奈川県弁護士会は同日、懲戒委員会の議決に基づいて退会命令の懲戒処分を行った。同会は2021年6月29日にも命令を出したが、古澤被告人から不服申し立てを受けた日弁連が業務停止2年に変更する裁決をしていた。
公判では大筋で罪を認めており、禁錮刑以上が確定すれば弁護士資格を失う見通し。古澤被告人は被告人質問で「ばかなことをしました。反省、後悔の日々です」と述べた。
●被告人「パワハラ裁判の支払い額を減らしたかった」
パワハラ訴訟は一審判決で、古澤被告人に慰謝料など計約500万円の支払いを命令。双方が控訴し、2022年2月に和解している。古澤被告人は妻と共謀し、訴訟を有利に進めるために銀行通帳の取引履歴やメール文書などを偽造し、真正な証拠のように提出したなどとされる。
2022年5月に逮捕され、10月の初公判後は偽証教唆の罪について一部争っているものの、ほぼ罪状は認めている。この日は検察側の被告人質問だった。
犯行動機について「違法なことをしてでも(後輩弁護士とのパワハラをめぐる)裁判に勝ちたかったんじゃないか?」「100:0で勝ってメンツを保ちたかったのでは」と問われると、強く否定。「一部認容を含めて勝てる裁判ではないと思っていた。和解するにしても少なくとも金額をなんとかしたいと思った」と説明した。
弁護士であるにもかかわらず、偽造に手を染めたことについて「極めて非道。多くの人を巻き込んだ」と反省の弁を述べた。しかし、これまで依頼人から偽造証拠を裁判で出すよう頼まれたことがあるとし「まずは抗って基本は出さないが、2回出したことがある」と明らかにした。
最後の裁判官とのやりとりでは「やりたい仕事だったから一生懸命勉強した。多くの人を助けることができたし、信頼してもらった」と弁護士人生を振り返った。「すべて台無しになったわけですよね」と問われると「断腸の思いとしか言えない。ばかなことをした」と述べた。
●弁護士会「録音データを切り貼り、替え玉電話も」
神奈川県弁護士会は2度目の退会命令を出したことについて、島崎友樹会長の談話を発表。古澤被告人について、さらなる多数の懲戒事由が確認されたためと説明し、「弁護士を含めた司法に対する市民の皆様の信頼を損なうものであり、極めて遺憾」とした。
懲戒処分の掲示によると、パワハラ行為や罪に問われている文書偽造に加え、新たな証拠捏造も理由として盛り込んでいる。弁護士同士の会話の録音データをつじつまがあうように編集したことや、ある弁護士を装った「替え玉」の人物との電話の記録を証拠としたという。
「どれ一つをとっても弁護士としてあるまじき行為であり、弁護士としての品位を欠く程度には著しいものがある」と厳しい言葉で非難している。
古澤被告人は公判で、再び審査請求するか弁護人から問われ「私としては未定」と述べた。