AppleがARヘッドセット「Vision Pro」を発表、ディスプレイという制限から解き放たれ好きな場所で好きなアプリを目と手と声で操作可能に
Appleが同社初となるARヘッドセット「Vision Pro」を発表しました。完全三次元のインターフェイスを採用しており、操作は目と手と声だけで可能となります。
WWDC23 - Apple Developer
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WWDC 2023 - June 5 | Apple - YouTube
Apple製ARデバイス「Vision Pro」が登場しました。
Vision Pro装着時の見た目はこんな感じ。
ホーム画面には円形のアイコンが並びます。
アプリを開くとこんな感じ。
各種操作は「目」「手」「声」で実行します。
アプリは空間上に自由に配置可能。
ユーザーをぐるっと囲むように表示することもできます。
Vision Proを装着すると、まず周囲の景色がパススルー表示されます。
そして、ホーム画面が表示されます。
各種インターフェースには立体感があります。
アプリのサイズは自由に調整可能。
位置も自由に変更できます。
アプリは自動整列されるので、「アプリ同士が重なって見にくい」という事態は発生しません。
周りの景色をパススルー表示する代わりに、任意の景色を表示する「環境」機能も搭載されています。
パススルー表示と「環境」のブレンド具合はDigital Crownで調整可能です。
Vision Proは「目」「手」「声」で操作可能。視線を動かすことで、フォーカスを操作できます。
視線で対象にフォーカスしたら、「指同士のタップ」で選択可能。
「指を上下に動かす」という動作でスクロールできます。
こんな感じにリラックスした姿勢で操作可能です。
入力欄に視線を合わせれば、音声入力可能。
また、Siriを使ってアプリの起動やメディアの再生をコントロールすることもできます。
近くに人がいることを検知すると、Vision Proの外側に「ユーザーの目」が映し出されます。Appleはこの機能を「EyeSight」と名付けています。
コンテンツを集中的に視聴している際は、Vision Proの外側に目が表示されず、「周りが見えていない」という情報を伝えられます。
また、誰かが近付いてくるとVision Proの画面内に人物の姿が映し出されます。
ディスプレイは非常に高精細で、細かい文字も問題なく読めます。
Vision ProではマウスやキーボードをBluetooth接続して利用可能。これにより、メールや表計算アプリもスムーズに使えます。
さらに、Vision Proを装着した状態でMacを見つめると、Vision Proの画面内に「Macの外部ディスプレイ」を表示させられます。
これにより、Mac向けアプリとVision Pro向けアプリを同時に使えます。
ビデオ通話では通話相手が実物大で表示されます。
また、写真を開くと写真の周囲が自動的に薄暗くなります。
パノラマ写真を圧倒的スケールで鑑賞することも可能。
さらに、Vision Proは3Dカメラとして利用可能。被写体を3D情報を伴う写真やムービーとして記録できます。
3Dビデオを再生すれば思い出をのぞき込んでいるような感覚に浸れます。
Vision Proは映像コンテンツ視聴環境としても優れています。まず、視界内に巨大スクリーンを出現させることが可能。
コンテンツの視聴中に周囲を暗くすることもできます。
空間オーディオにも対応しているので没入感にも優れています。
さらに「環境」機能を用いて映像コンテンツに沿った環境を周囲に展開することもできます。
映画館を再現した「シネマ環境」も用意されています。
3D映像も立体的に視聴可能。
さらに、XboxやPlayStation用のコントローラーを接続してゲームをプレイすることも可能。
Vision Proの発売時には100以上のゲームがプレイ可能になる予定です。
Vision Proの発表中にはディズニーのボブ・アイガーCEOが登場。
Vision Proの発売時にディズニーのストリーミングサービス「Disney+」が利用可能になることが発表されました。
Vision Proの前面は3D形成された1枚合わせのガラスで作られています。
ガラスの内側には大量のカメラやセンサーを搭載。
フレームには3D写真やビデオを再生するためのボタンとDigital Crownが搭載されています。
フレームはアルミニウム合金製で、顔の形に沿うようにカーブしています。
どんな人でもピッタリ装着できるように、各部品を異なるサイズのものと交換可能なモジュラーシステムが採用されています。
遮光パッドは幅広いサイズを用意。
ヘッドバンドも取り外して交換可能です。
眼鏡ユーザーのためにZEISSと協力して矯正レンズも開発。矯正レンズはマグネット式で簡単に取り付けられます。
Vision Proは電源と接続して使用可能。
また、外付けバッテリーで最大2時間駆動させることもできます。
画面表示部はマイクロOLEDを採用。
ピクセル数は2枚のパネル合わせて2300万です。
接眼レンズは3枚構成。
左右合計2300万ピクセルのパネルと独自設計レンズの組み合わせで細かい文字も視認可能な高精細画面を実現しています。
音声は統合型デュアルドライバを搭載した「オーディオポッド」で再生します。
「オーディオレイトレーシング」と呼ばれる技法を用いて周囲の空間の特徴と素材を分析し、ユーザーの空間に合わせたサウンドが再生されます。
前面にはメインカメラを2個搭載。
メインカメラの他に、下方向カメラ、赤外線イルミネーター、サイドカメラも搭載。
さらに、目の付近には視線の動きを検知する赤外線カメラが搭載されています。
Vision Proは「温度の低さおよび静かさ」と「処理性能の高さ」を実現するために2種類の処理チップを搭載しています。1つ目のチップは「M2」で、ほとんど無音で動作可能です。
そしてもう1つのチップがリアルタイムのセンサー処理のために特別設計された「R1」です。
R1は12個のカメラ、5個のセンサー、6個のマイクからの入力をリアルタイムで処理します。
R1は「カメラ」「センサー」「マイク」からの処理を12ミリ秒以内にディスプレイに送信します。これにより、「VR酔い」のような現象を軽減できるとのこと。
Vision Proに搭載されたセンサーを使ってデジタルPersonaを作成することも可能。デジタルPersonaはビデオチャットなどに活用される予定です。
Vision Proには新開発のOS「vision OS」が搭載されています。
vision OSは空間コンピューティング用に一から設計されています。
既に一部の開発者にはVision Proの開発版が提供されており、「インタラクティブな3D心臓モデルを表示するアプリ」や「F1マシンのデザインコンセプトを確認するアプリ」などが開発されています。
Vision ProではExcelやWordなどのMicrosoft製アプリも利用可能。
また、TeamsやZoomなどのビデオ会議アプリも使えます。
開発者向けには3D空間を活用できるようにするツールキット「Reality Composer Pro」が提供されます。
また、iPadOSやiOSで利用可能なフレームワークはVision Proでもそのまま使えるとのこと。これにより、iPadやiPhone向けの膨大なアプリがVision Proでも利用できます。
例えば、Adobe Lightroomの画面を大きく表示して目と手で操作することができます。
さらに、ゲームエンジン「Unity」もサポートしており、Vision Proの3D機能をゲームに活用できます。
Vision Pro向けのApp Storeでは、Vision Pro専用アプリの他にiPadやiPhone向けのアプリもダウンロードできます。
Vision Proのロック解除は虹彩を読み取る「Optic ID」によって行われます。
なお、Vision Proでは視線入力を用いますが、視線の情報はアプリやウェブサイトに通知されません。
Vision Proの価格は3499ドル(約48万8000円)で、2024年初頭にアメリカのApple公式サイトおよびApple Storeで販売開始予定です。
また、2024年末までにアメリカ以外の国でも発売する予定です。