ウルフドッグス名古屋の7年ぶり2度目の優勝で幕を閉じた2022-23 V.LEAGUE DIVISION1 MEN(V1男子)。今後は日本代表の活動に注目が集まるが、今シーズンのVリーグで活躍した選手のなかから、代表や来シーズンも注目の男子バレーボーラー10人を紹介する。

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【永露元稀】photo by 火野千鶴

■永露元稀(えいろ・もとき)
所属:ウルフドッグス名古屋 セッター・192cm

1996年6月8日生まれ 
福岡県出身 東福岡高→東海大

 日本代表でも活躍が期待される長身セッター。昨季はファイナルで冷静さを欠き、「自分のせいで負けた」と涙を流したが、今季も同じサントリーと対戦してリベンジを果たし、チームは2度目の優勝。フィリップ・ブラン代表監督も視察したファイナルで、大きく評価を上げた。

 高校生まではミドルブロッカーだったこともあり、セッターとしてはブロックの能力も高い。また、ジャンピングフローターサーブも効果率が高く、ブレイクの起点となることも多かった。2年連続での選出になった代表では、B代表に回った昨年の悔しさを晴らしたい。


【大塚達宣】photo by 縞茉未

■大塚達宣(おおつか・たつのり)
所属:パナソニックパンサーズ アウトサイドヒッター・194cm

2000年11月5日生まれ
大阪府出身 洛南高→早稲田大

 昨季、V1男子初の「現役大学生Vリーガー」としてパナソニックに加入。低迷していたパナソニックを押し上げてファイナル3入りに貢献し、新人賞を受賞した。その後は早稲田大学に戻ってインカレ連覇を目指したが、準決勝の試合中に足をケガするアクシデントもあり、3位で大学バレーを終えた。

 今季も年明けから、内定選手としてパナソニックに合流。苦しんでいたパナソニックをファイナル4進出に導いた。そのファイナル4は、ポーランド代表で長く活躍したミハウ・クビアクが体調不良で不在のなか、前年度覇者のサントリー相手にフルセットに持ち込む。しかし、相手選手のセンターラインを越えた足を踏み、捻挫で退場。相手チームの山村宏太監督に「大塚選手のアクシデントがなければ、結果は変わっていたかもしれない」と言わしめた。

 ケガの状態は気になるところだが、今年度も選出された代表では、パリ五輪の出場権獲得を目指す。


【西山大翔】photo by 火野千鶴

■西山大翔(にしやま・ひろと)
所属:パナソニックパンサーズ オポジット・193cm

2003年3月4日生まれ
神奈川県出身 東海大相模高

 昨年10月にVリーグデビューを果たしたが、かつて高校生の西田有志が起こした衝撃を思い起こさせるようなプレーを見せた。相手ブロックを弾き飛ばす、パワーのあるスパイクが武器。身長は193cmだが、指高(しこう/腕を上げた際の、足の裏から指先までの高さ)が255cmと腕が長く、ジャンプ力もあるため打点が高い。ブロック力もあり、キルブロックでの得点も多く見られた。

 強力なスパイクサーブもあるが、相手のセットポイントのような緊迫した場面でもそのサーブを繰り出せるメンタルの強さも併せ持つ。東京五輪ではフランス代表を率いて金メダルを獲得したロラン・ティリ監督や、チームメイトのクビアクも「ポテンシャルは非常に高い」と評価。同時に「もっとプレーを安定させることが必須」とも指摘されていたが、日本代表にも選出され、西田、宮浦健人(PSGスタル・ニサ/ポーランド)らとオポジットの座を争うことになる。


【迫田郭志】photo by 火野千鶴

■迫田郭志(さこだ・ひろし)
所属:堺ブレイザーズ アウトサイドヒッター・183cm

1996年5月1日生まれ
鹿児島県出身 鹿児島商業高→福山平成大→FC東京
 
 小柄ながら切れのあるサーブ、スパイクが魅力で、守備力も高い。チームを移籍してしばらくは出場機会が限られていたが、少ないチャンスで結果を出してレギュラーポジションを勝ち取った。

 ここ数年、プレーオフから遠ざかっていたチームの、ファイナル4進出の原動力のひとりになった。プレーだけでなく甘いマスクでも人気も集めており、ファン感謝デーではサインを求めるファンの長蛇の列ができたという。


【富田将馬】photo by 縞茉未

■富田将馬(とみた・しょうま)
所属:東レアローズ アウトサイドヒッター・190cm

1997年6月20日生まれ
静岡県出身 東山高→中央大

 守備のよさが売りのアウトサイドヒッター。今季は得点でも貢献し、総得点で柳田将洋に次ぐ日本人2位、全体でも12位にランクイン。サーブ効果率も柳田に次ぐ日本人2位で、全体では7位に入った。サーブレシーブ成功率は4位だが、1位から3位はリベロだ。

 代表では、昨年に力が発揮できなかった無念を晴らしたいところ。課題であるブロック、海外の選手相手のサーブ成功率を向上させてアピールしたい。プライベートでは、最近パパになったことを報告している。


【郄橋健太郎】photo by 縞茉未

■郄橋健太郎(たかはし・けんたろう)
所属:東レアローズ ミドルブロッカー・202cm

1995年2月8日生まれ
山形県出身 米沢中央高→筑波大

 2年連続でブロック賞を受賞。硬いブロックと、高い打点から繰り出されるパワフルな攻撃で攻守バランスのいいミドルブロッカー。身長は2mを超えるが動きは俊敏でポテンシャルも高い。

 少し故障がちではあるが、いいコンディションを維持していけば、「日本代表の弱点」とも言われるポジションのミドルブロッカーで、十分に海外でも通用するはずだ。日本がパリ五輪出場権を獲得し、本大会で上位を目指すためには、郄橋の活躍が欠かせない。


【柳田将洋】photo by 火野千鶴

■柳田将洋(やなぎだ・まさひろ) 
所属:ジェイテクトSTINGS アウトサイドヒッター・186cm

1992年7月6日生まれ
東京都江戸川区出身 東洋高→慶應義塾大→サントリーサンバーズ→ビュール(ドイツ)→ルビン(ポーランド)→ユナイテッドバレーズ(ドイツ)→サントリーサンバーズ

 サントリーでリーグ2連覇の立役者になったのち、今季はジェイテクトに移籍。西田の復帰、日本代表の正セッター・関田誠大の加入とともに注目を集めた。リーグ開幕後は、西田の体調不良、外国人選手のウルナウト・ティネの故障などで苦しむチームを支えた。

 時には、本来のポジションではないオポジットに入って苦しいトスを決めきるなど活躍し、総得点ランキング(全体10位)、サーブ効果率(全体5位タイ)も日本人トップでシーズンを終えた。その成績と指導力も買われて、2年ぶりに代表復帰を果たす。南部正司強化委員長は「若手を引っ張っていってくれることを期待している」と語ったが、本人も「自分の求められる役割をしっかり果たしたい」と意気込んでいる。


【西田有志】photo by 火野千鶴

■西田有志(にしだ・ゆうじ)
所属:ジェイテクトSTINGS オポジット・186cm

2000年1月30日生まれ
三重県出身 三重海星高→ジェイテクトSTINGS →ビーボ・ヴァレンティア(イタリア)

 男子日本代表の左腕のエース。昨季はイタリアリーグ1部でプレーし、古巣ジェイテクトに復帰。そのプレーが注目されたが、病名がわからない体調不良が続くなど、リーグ前半はなかなか出場できなかった。しかし、フル出場した天皇杯ではチームを2度目の優勝に導いた。ファイナル4進出はならなかったが、西田が出場できるようになってから上位を追い上げた。

 今年度の代表にも選出され、ブラン監督からは主将の石川祐希と共に「キーマン」として期待されている。私生活では、女子日本代表のキャプテン、古賀紗理那と結婚。ビッグカップルの誕生でバレー界を賑わせた。


【戸嵜嵩大】photo by 火野千鶴

■戸嵜嵩大(とざき・たかひろ)
所属:東京グレートベアーズ アウトサイドヒッター・191cm

1995年6月14日生まれ 
東京都出身 駒澤大学高→駒澤大→東レアローズ→VC長野トライデンツ

 中学生の頃に「大腿骨頭すべり症」と診断され、入院、手術、リハビリと約2年にわたる闘病生活を過ごした。バレーは中学で辞めるつもりで、高校のバレー部顧問に入部を誘われるもいったんは保留。しかし、OB応援で観戦した春高バレーで活躍する柳田将洋に心を奪われ、「自分もあんなふうにプレーしたい」と考え、バレーを続けたという過去がある。

 東レアローズの内定選手時代に存在感を示し、VC長野に移籍後はチームの主力として活躍。昨年はインドネシアリーグにも挑戦し、現地で高い人気を誇った。今季は廃部の危機にあったFC東京から生まれ変わった東京グレートベアーズでプレー。地元・東京の、新しいチームで躍動した。


【三輪大将】photo by 縞茉未

■三輪大将(みわ・ひろまさ)
所属:VC長野トライデンツ ミドルブロッカー・192cm

1999年12月17日生まれ
山口県生まれ 高川学園高→明治大学
 
 ルーキーながらフル出場し、VC長野の攻撃の要となってスパイク賞を受賞。代表にも初選出された。幅の広い速攻が持ち味で、ブロックにつかれてもターン打ちやタイミングをずらした打ち方で決めきる技術がある。

 リーグの最後にはチームの連勝をけん引し、最下位脱出に貢献した。さらに、入れ替え戦でも力を発揮してV1残留を決めた。ミドルブロッカーとしては身長がそこまで高くないため、海外選手を相手に攻撃がどこまで通用するかは未知数。攻撃特化型であるため、ブロック力の向上も図りたいところだが、今後の成長に期待だ。