関連画像

写真拡大

「尾木ママ」の愛称で知られる教育評論家の尾木直樹氏が4月5日、公式ブログを更新し、ツイッター上に「なりすまし」があらわれたことを明かした。

尾木氏は、ツイッターのアカウントを持っていないとしたうえで「あまりにもエスカレートするようなら、しかるべき措置も検討していきます。それにしても困ったものですー」などと綴っている。

なりすまし犯は「尾木ママ」のアカウント名で、尾木氏の画像をアイコンに使用。「なるほど思春期の娘の裸に不覚にも興奮してしまったと…いいと思いますよ」などと“下ネタ”を相次ぎ投稿し、「不謹慎」だと批判を浴びていた。

尾木氏本人のブログが更新されると、「僕が全部悪い」としたうえで、ツイッターに疲れて凍結したかったために、なりすましたことを明かした。4月6日現在、アカウントは凍結されている。

有名人のなりすまし犯になることは、どのような法的問題があるのだろうか。清水陽平弁護士に聞いた。

「なりすまし」罪はないが…名誉毀損の問題も

なりすまし犯には、刑事上の問題と民事上の問題が考えられます。

まず、なりすまし行為自体は、刑法が「なりすまし罪」のような犯罪を定めているわけではないので、それだけで刑法上問題であるということはできません。

ただし、なりすましたうえで、本人の評判を落とすようなことをして、あたかも本人が問題行動をとったかのように装う場合には、名誉毀損罪などの問題が生じることになります。

このような場合は、民事上も名誉権侵害の問題が生じますし、なりすますこと自体で本人の氏名権やプライバシー権、肖像権、アイデンティティ権などを侵害する可能性があります。

今回のなりすましアカウントでは、本人の評判を落とすような投稿が複数されているため、刑事上、名誉毀損罪の問題にし得ると思います。また、民事上、名誉権侵害となるほか、通称名・愛称や写真を使っているので、氏名権や肖像権を侵害しているともいえます。

なりすまされた人は、これらの権利侵害を理由に削除を求めることができるほか、発信者情報開示請求をして相手を特定していく余地もあります。

なりすまし行為をしていた人物を特定できれば、損害賠償請求をすることができ、今回のなりすましでは刑事告訴をすることも可能だと思います。

【取材協力弁護士】
清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、総務省の「発信者情報開示の在り方に関する研究会」(2020年)、「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ」(2022年〜) の構成員となっている。主要著書として、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第4版(弘文堂)」などがあり、マンガ「しょせん他人事ですから 〜とある弁護士の本音の仕事〜」の法律監修を行っている。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:http://www.alcien.jp