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世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散請求を文化庁に求める署名20万超筆が12月9日、文部科学省に提出された。小川さゆりさんら2世信者や全国統一協会被害者家族の会のメンバーらが同省に赴き、宗務課の担当者と30分ほど面会した。

このインターネット署名は「Change.org」で10月17日から実施(現在も継続中)。12月6日までに集まった20万4588筆を提出した。同サイトでの日本関連では歴代4位の数だという。

この日、会見した2世の井田雫さん(仮名)は「声を上げられずに一人で悩んでいた期間を考えると、感謝しかない」、ジャーナリスト鈴木エイト氏は「教会は脅威を覚えているはずだ」と説明した。

●空白の30年、今度こそ止めてほしい

2世で合同結婚式後に韓国から帰ってきた冠木結心さん(仮名)は、自身の経験を著書にするなどして被害を訴えている。7月の安倍元首相の銃撃事件直後には、全国霊感商法対策弁護士連絡会の会見でついたての中から証言した。

「あの日から始まりました。この30年間、教会がおこなってきたことは世界平和とは程遠い、献金被害、家族崩壊、人生破壊です。現役信者の私の親族を含め、これ以上の被害を食い止めるためには次世代につなぐ答えが必要です。それが“解散”なのは間違いありません」

親が高額献金の被害に遭った井田さんも「30年前に規制や罰則があれば、多くの被害者は出なかった。多くの当事者がリスクを冒して、葛藤しながら活動してきたのは、いまだに教会の誠意ある行動が見えないからです。もう苦しむ人は出てきてほしくない。今度こそ政府は毅然とした対応をしてくれると信じています」と語った。

宗務課長と面会したメンバーからは、解散命令請求に向けて好感触だったことが明かされた。オウム真理教や明覚寺の過去2例と違って民法上の不法行為に基づく請求となるため、証拠を集めて取り組む姿勢が見えたという。ただ、請求が実現したとしても裁判所が実際に命令するかは不透明で、時間もかかる。

ボランティアで活動する家族の会の石原正志副会長は「解散で信者が救われるわけではありません。退会へと導いていく活動は地道に続けていきます。しかし、組織を個人で維持するのは難しい」とし、政府には相談から救出まで対応できる組織の開設を求めた。

●20万は傍観者をやめた人たちだ

この署名活動は旧統一教会関連だけでなく、エホバの証人や創価学会2世も含む44の個人・団体が呼びかけ人となった。エイト氏は「本来、一線を置くジャーナリストや研究者が職分を踏み越えて、呼びかけに加わったのは強い思いがあるからです」と説明する。

エホバ2世で詩人のiidabii(イーダビー)さんも「統一教会の被害者の苦しみや絶望を聞き、胸が苦しくなりました。私も部外者ですが、関係ないとスルーすることだってできる。でも、傍観者であることをやめたのが、この20万人です」と語気を強めた。

創価2世で、宗教2世に取材をして漫画で発表した菊池真理子さんは「今回を足がかりとして、他の宗教の人権侵害にも注意を払ってほしい」と訴えた。