裁判“盗聴”問題 国「職員の独断だった」防衛省の指示は否定、原告側弁護士に回答
横浜地裁横須賀支部で2022年10月、裁判の弁論準備手続が、国側の担当者によって無断録音されていた問題で、国が、録音は職員の独断で、法務局所属の指定代理人や防衛省の関与は一切なかったと説明していることが12月1日わかった。原告側代理人の笠置裕亮弁護士が明らかにした。
笠置氏によると、国は回答書で「(録音行為は)南関東防衛局所属の職員が報告書を作成する目的で、職員の判断により行われたもの」とし、南関東防衛局が職員に指示や依頼をした事実はなかったと説明している。昨年7月以降の6期日すべてが録音されていた。
また、東京法務局や横浜地方法務局所属の指定代理人の関与は一切ないとした上で、防衛省職員の処分について、厳正に対処する方針と締めくくっている。
●10月だけでなく6回すべて無断録音
事案が発覚したのは10月11日。米軍基地で働いていた女性が、国を相手に起こした労働裁判でのことだった。裁判所が双方の意見を聞くため、交互に入室する場面で、国側が退席した直後に笠置弁護士が、書類ファイルの下に隠れるような形で置かれた録音機を発見した。
これ以前の期日で、この職員が出廷した2021年7月14日、11月1日、2022年3月28日、7月5日、9月12日も同じように準備室内でのやりとりを録音していた。国側は「いずれのデータも消去されており、存在しない」としている。
笠置弁護士は「法曹資格を持たない職員に対する教育など、再発防止に向けた報告がなかったことは残念です」と話した。
弁護士ドットコムニュースが防衛省に回答を求めたところ、12月7日、報道室からメールで返信があった。
「当該職員は南関東防衛局の職員で訴訟における期日の経過を正確に作成するため、自らの判断において、私物のICレコーダーを使用し、複数回にわたって期日の録音を行っていたと承知しています。
また、当該職員以外の職員についても調査を実施しているところであり、速やかに事実関係を調査した上で、適切に対応してまいります」
(2022年12月7日午前10時、防衛省の回答について追記しました)