「私の体を切り付けられる思い」少女支援団体の仁藤夢乃さん、「生活保護ビジネス」と投稿の男性を提訴
性的な暴力や搾取を受けた若い女性を支援している一般社団法人「Colabo(コラボ)」は11月29日、団体と代表理事の仁藤夢乃さんに対する誹謗中傷が過激化しているとして、代表的な投稿者と考えられる人物に対して、計1100万円の損害賠償や記事の削除などをもとめて、東京地裁に提訴した。
同日、団体が都内で記者会見を開いて発表した。仁藤さんは、「生活保護ビジネス」などという投稿はデマや嫌がらせにあたり、そうした中傷が拡散していることから支援継続ができなくなるおそれがあると訴えた。
●「タコ部屋に少女住まわせ」などの投稿は「デマ」と主張
Colaboは、主に性的な被害を受けた10代女性を対象として、食事や居場所(バスカフェやシェルター)を提供している。
仁藤さんやその弁護団の説明によると、2021年から団体や仁藤さんへの中傷にあたると思われる投稿が広がったという。2022年9月ごろからは、特に、都内在住のある男性によるものが激化したそうだ。
この男性はツイッターやnote、YouTubeで、団体や仁藤さんに関する投稿を繰り返し、「Colaboは10代の女の子をタコ部屋に住まわせて生活保護を受給させ、毎月一人65000円を徴収している」「生活保護不正受給」などと指摘したとしている。
弁護団はそうした投稿は事実無根のデマだとしたうえで、拡散しないように注意を呼びかけた。
●バスカフェに傷をつけられるとする事態も
そのような中で、バスカフェに傷をつけられる事態も10月18日に確認されて、シェルターの場所を特定するような行為もみられるなど「実害」も生じているという。
仁藤さんは会見で「バスカフェは少女たちとつくりあげてきた安心できる空間。私自身の体を切り付けられたような恐怖を感じている。当事者は怒り、悲しみ、傷つきを感じながら、場所を守りたいと声をあげている」とコメントした。
Colaboは、東京都からの委託事業として活動もおこなっている。
これに関して、ネットには公金の不正使用疑惑の指摘もあるが、会見や配布資料で、Colabo側は、会計の不正について事実無根であると主張している。
会見で名指しされた該当のアカウントはツイッターで反応し、コメントは訴状が届いてから出すなどと投稿した。
●報道機関に対する提訴も発表
また、安倍晋三元首相の殺害事件を受けて仁藤さんがツイッターで発言したことを取り上げ、「”自業自得”と主張」との見出しをつけたネット記事(今年7月)を配信したとして、「よろず〜ニュース」を運営する神戸新聞社と株式会社デイリースポーツ(いずれも兵庫県神戸市)を提訴していたことも明らかにした。
デイリースポーツの担当者は「仁藤夢乃さんが弊社を提訴したというニュースについての見解を伺いたいとのこと。その事実について、現時点では関知しておらず、訴状も届いておりませんので、お答えすることはできません」と取材に答えた。