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カフェなどでよく見かける「ワンドリンク制」。食事のメニューだけでなくドリンク注文も必須になりますが、これに対し「合法なのでしょうか」と問いかける相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

先日、カフェでケーキだけを注文した相談者。すると、店員から「当店はワンドリンク制となっております」と言われ、必ずドリンクも注文しなければいけませんでした。

相談者は「居酒屋などで出るお通しは断ることもできると聞いたことがありますが、店員から『当店はワンドリンク制』と言われても、『私はケーキだけを食べたい。ドリンクはいりません』とドリンクを頼まないということも可能なのでしょうか」と疑問に感じているようです。

お店からワンドリンク制と言われても、ドリンクはいらない。そう断ることは可能なのでしょうか。齋藤裕弁護士に聞きました。

●契約自由の原則がある

--お店がワンドリンク制を設けることは、自由なのでしょうか。ワンドリンク制を拒否する客がいた場合、お店側は退店をお願いすることができますか。

店がお金を取って客に商品を提供する場合、店と客との間には売買契約が成立しています。この売買契約については、店には、原則として、どのような条件で売買契約をするのか決める自由があります。これを契約自由の原則と言います。

ですから、カフェが、ワンドリンク制とするのは原則自由ということになります。よって、店はワンドリンク制を拒否する客とは契約できないとして、退店をお願いすることができます。もちろん、客側にも、ワンドリンク制を拒否できないのであれば店を利用しない自由があります。

なお、独占禁止法上、抱き合わせ販売が禁止されることがあります(一般指定10項)。

しかし、禁止されるのは競争秩序に悪影響を及ぼすような抱き合わせ販売であり、競合店の多いカフェにおいて、ワンドリンク制が競争秩序に悪影響を与えるとして独禁法上禁止されるということは想定しにくいです。

【取材協力弁護士】
齋藤 裕(さいとう・ゆたか)弁護士
刑事、民事、家事を幅広く取り扱う。サラ金・クレジット、個人情報保護・情報公開に強く、武富士役員損害賠償訴訟、トンネルじん肺根絶訴訟、ほくほく線訴訟などを担当。共著に『個人情報トラブル相談ハンドブック』(新日本法規)など。
事務所名:さいとうゆたか法律事務所
事務所URL:http://www.saitoyutaka.com/