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霊感商法等被害について憲法学者や弁護士の紀藤正樹、菅野志桜里氏ら有識者が議論してきた消費者庁の対策検討会は10月17日、提言をまとめた報告書を公表した。

旧統一教会については「社会的に看過できない深刻な問題が指摘されているため、解散命令請求も視野に入れ報告徴収及び質問の権限を行使する」よう文部科学省に対し求めた。

これを受け、岸田文雄首相は同日、永岡桂子文科相に質問権を行使した調査を指示した。

●文化庁の質問権、宗教法人法改正後初めて行使へ

宗教法人の解散命令は、オウム真理教と霊視商法詐欺事件を起こした明覚寺の2件のみ。宗教法人法では「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」などの場合、所轄庁が解散命令を請求できると規定されている。

また、解散命令請求の要件に当たる疑いがある場合は、文化庁が団体に対して報告を求めたり質問をしたりできるとされている。しかし、これまで一度も行使されていないことが、検討会の議論で明らかになっていた。

検討会は、こうした行政の消極的な対応には問題があると指摘。旧統一教会については、民事裁判で「組織的な不法行為に基づき損害賠償を認める裁判例が複数積み重なっている」ことなどを理由とし、文化庁が調査に乗り出すよう求めた。

●高額寄付の禁止や、契約取消権拡大も盛り込む

検討会は8月29日から7回行われた。旧統一教会の調査の他には、合理的な判断をできない状態のマインドコントロール下での勧誘などを念頭に、霊感商法対策として以下の4点を提示した。

・消費者契約法の取消権の対象範囲の拡大、行使期間5年を延長するための法改正
・高額寄付の禁止などの法制化を検討
・専門家が連携した相談対応、特に児童虐待を含め子どもや宗教2世に対する支援を行う
・被害の情報を迅速に公表し、消費者教育の過程で霊感商法等に関する情報を伝える