河出書房新社が発行するホラー小説「オーメン」の価格がツイッターで注目を集めている。

同作の税別価格は666円。作品に関連する数字並びであったことから、「ぜったい狙っただろ河出書房」「価格を二度見したわ」などと話題になっていた。こうした反響を受け河出書房新社の担当者は2022年9月11日、同作の発売経緯をツイッターで明かした。

「獣の数字」を狙った本体価格

話題となったのは、1967年に公開されたホラー映画「オーメン」を小説化したもの。映画の脚本家デヴィッド・セルツァーさん自ら書き下ろしたものだ。中田耕治さんによる日本語訳が2006年5月17日、河出書房新社から発売されている。

同作は6月6日6時に生まれた孤児・デミアンをめぐる物語。ある外交官の妻が待望の初子を死産し、外交官は妻に内密で同時刻に生まれた孤児を引き取った。実はその子は聖書に予言されていた悪魔「デミアン」で、不可解な事件が起きる。

インターネット上では、河出書房新社から発売された日本語訳の値段がたびたび話題になっている。22年9月11日にもあるユーザーが「価格を二度見したわ」と、書籍が666円で販売されていることを紹介し大きな注目を集めた。

こうした反響を受けて河出書房新社は同日、広報運営アカウントで次のように引用リプライを送った。

「もしかして:わざと #河出文庫オーメンの本体価格666円」

取材に対し同社ツイッター担当者は、作中に登場する「獣の数字」をねらったと解説した。デミアンの出生時刻でもある666と言う数字並びは、キリスト教圏において「獣の数字」と呼ばれ、不吉なものと捉えられている。

666円で発売するため社長に直談判

河出書房新社の担当者は続くツイートで、「オーメン」を666円で発売するために同作の書籍担当者が当時の社長に直談判したと明かしている。偶然にもその社長の誕生日は6月6日だったそうだ。また奥付を6月6日にするという案もあったそうだが、発行日の関係上難しかったという。

当時は税別表記が可能だったため、書籍には「本体666円」と記されている。2022年現在に発行するならば、税込み価格の併記も必要だそうだ。ツイッター担当者は取材に対し、「価格は適正価格である必要があり、そこは気をつけましたが、幸いその点は大丈夫でした」と振り返った。

河出書房新社が「オーメン」を意図的に666円で発売したとするツイートは、13日現在までに3000件を超えるリツイート、7000件を超える「いいね」が寄せられる大きな反響を呼んだ。

こうした反響を受けて担当者は「ツイートしたあとに在庫切れだったことに気が付きました。ご注文が殺到すれば、重版ができるかもしれませんが...!」と悔しさをにじませた。