【▲ 散光星雲「NGC 6357」(Credit: CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA; T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF’s NOIRLab), J. Miller (Gemini Observatory/NSF’s NOIRLab), M. Zamani & D. de Martin (NSF’s NOIRLab))】


こちらは「さそり座」にある約8000光年先の散光星雲「NGC 6357」です。幅約400光年に渡って広がるNGC 6357は、若い大質量星の紫外線によって電離した水素ガスが赤い光を放つHII(エイチツー)領域のひとつであり、ガスや塵から新たな星が形成される星形成領域としても知られています。可視光線のフィルター3種類を通して取得された画像を着色・合成して作られたこの画像では、複雑に渦巻くガスと塵の雲だけでなく、星雲の内外で輝く数千個の星々が捉えられています。


この画像は、チリのセロ・トロロ汎米天文台にあるブランコ4m望遠鏡に設置された観測装置「ダークエネルギーカメラ(DECam)」の観測データをもとに作成されました。その名が示すようにダークエネルギー(暗黒エネルギー)の研究を主な目的として開発されたDECamは、満月約14個分の広さ(3平方度)を一度に撮影できる巨大なデジタルカメラのような装置です(画素数約520メガピクセル)。DECamによるダークエネルギー研究のための観測は、2013年から2019年にかけて実施されました。


画像を公開した米国科学財団(NSF)の国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)によると、NGC 6357の中心付近には、推定質量が太陽の100倍にも達する大質量星を含む散開星団「ピスミス24(Pismis 24)」が位置しています。また、星団を取り囲む領域には、高密度のガスや塵に包まれて成長を続ける原始星が数多く存在しています。DECamが鮮やかに捉えた星雲内部の複雑な構造は、星間物質の流れがもたらす激しい圧力、恒星からの放射、そして強力な磁場によって形作られているといいます。


冒頭の画像はDECamの初観測から10周年を迎えたことを記念して、NOIRLabから2022年9月12日付で公開されています。


 


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Image Credit: CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA; T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF’s NOIRLab), J. Miller (Gemini Observatory/NSF’s NOIRLab), M. Zamani & D. de Martin (NSF’s NOIRLab)NOIRLab - Dark Energy Camera Captures Bright, Young Stars Blazing Inside Glowing Nebula

文/松村武宏