本記事では、「哀愁漂う(あいしゅうただよう)」の意味を解説します。また、「哀愁漂う〇〇」などの表現や「哀愁」とほかの言葉を組み合わせた日本語も紹介します。

加えて「哀愁漂う」の類語や使い方を解説。さらに英語表現も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

「哀愁漂う」の意味とは

「哀愁漂う」の意味を解説します

ここでは、「哀愁漂う」の意味を解説します。また、「哀愁漂う〇〇」のような表現方法についても紹介します。

「哀愁」「漂う」のそれぞれの意味

「哀愁漂う」は「哀愁」と「漂う」を組み合わせた言葉です。それぞれの意味を見てみましょう。

■哀愁(あいしゅう)の意味

なんとなく寂しく、もの悲しい気持ち。ペーソス

■漂う(ただよう)の意味

ある気配や雰囲気が周辺になんとなく感じられる、満ちている様子。

「哀愁」と「漂う」が組み合わさることで、「寂しく、もの悲しさに満ちている雰囲気」や「なんとなくもの悲しさが感じられる」という意味の言葉になりました。

また「哀愁が漂う」のように、「哀愁」と「漂う」の間に「が」という格助詞を付けて表現することもあります。意味は「哀愁漂う」と同じです。

○「哀愁漂う〇〇」のように表現ができる

「哀愁漂う」の後に、ほかの言葉を組み合わせた表現があります。

哀愁漂う人

哀愁漂う女性

哀愁漂う背中

哀愁漂う後ろ姿

哀愁漂う曲

「哀愁漂う人」「哀愁漂う女性」のように、ふとした瞬間に悲しい表情を浮かべたりうつむきがちだったりと、なぜか寂しそうな様子の人に対して使えます。「哀愁漂う背中」「哀愁漂う後ろ姿」は、ある人の背中から寂しさやもの悲しさが感じられるときに使用します。この「人」や「背中」は、「哀愁漂う」とともによく使われるので覚えておきましょう。

また「哀愁漂う曲」のように、人物以外にも使えます。

「哀愁漂う」の使い方・例文

「哀愁漂う」の具体的な使い方を紹介します

「哀愁漂う」や「哀愁が漂う」の使い方をご紹介します。次の例文を参考にしてください。

・哀愁が漂う人は、過去にとてもつらい経験をしているケースが多い気がする

・哀愁漂う姿のキャラクターがSNSで話題になっている

・父親の哀愁漂う背中を見て、こちらも何だか泣けてきた

・病院の診察だと気付いたときの、ペットの哀愁漂う表情に思わず笑ってしまった

・この地域の、哀愁が漂う景観に魅力を感じる

・彼女は平和への願いを込めて、哀愁漂うメロディーにのせた美しい歌声を披露した

・昭和には哀愁漂う曲が多かった

・大雨で散歩に行けないとわかったときの愛犬の姿は、哀愁が漂っている

・生命が活動を停止する冬は、そこはかとなく哀愁が漂います

・トボトボと去って行く彼の後ろ姿には、哀愁が漂っていた

「哀愁」は「漂う」以外の言葉とも一緒に使える

「哀愁漂う」以外の、「哀愁」を使った表現を紹介します

「哀愁」はほかの言葉と組み合わせて使うことも可能です。「哀愁漂う」と併せて覚えておきましょう。

哀愁を感じる

「寂しくもの悲しさが感じられること」という意味です。

【例文】

・この地域の雰囲気は何となく哀愁を感じますね

・子どもたちがいなくなった夕方の公園は哀愁を感じる

哀愁を帯びる

「寂しくもの悲しい性質・傾向を含んでいる」という意味です。

【例文】

・哀愁を帯びた繊細なメロディーがみんなの心をつかんだ

・別れ際の彼女の哀愁を帯びた表情が、心に引っ掛かっています

哀愁に浸る

「寂しくもの悲しい心境になる」や「もの悲しい状態に入りきる」という意味です。

【例文】

・楽しかった日々を思い出し、彼はしばらくの間、哀愁に浸っていました

・時間は戻りません。いつまでも哀愁に浸るのは終わりにしましょう

「哀愁漂う」の類語・言い換え

「哀愁漂う」の類語を例文と併せて確認しましょう

ここでは、「哀愁漂う」の類語・言い換えを紹介します。

○ペーソスが漂う、ペーソスを感じる

「ペーソス」は、日本語の「哀愁」や「悲哀」と同じ意味を持つ英単語「pathos」のカタカナ語です。対義語は「ユーモア」。ギリシア語で「パトス」ともいいます。

「哀愁漂う」の類語・言い換えとして使うときは、「ペーソスが漂う」や「ペーソスを感じる」という表現で使用しましょう。

【例文】

・この作品はペーソスが漂っていて深みを感じさせますね

・小説・映画・ドラマなどはペーソスを感じる作品を好んで選びます

○悲しげな

「悲しげな」は、心が痛んで泣きそうな様子という意味です。

【例文】

・彼女の悲しげな表情が頭から離れない

・悲しげな目をした男の子が公園に座っていた

○もの悲しい(物悲しい)

「もの悲しい」は、なんとなく悲しいという意味です。

【例文】

・新進気鋭の監督が描く、恐ろしくも物悲しい新作映画が話題を呼んでいる

・気が付いたら誰も周りにいなくて、もの悲しい気分になりました

○哀調を帯びた(あいちょうをおびた)

詩・歌・音楽などにもの悲しい調子が含まれているときに使います。悲しい調べのことです。

【例文】

・この作曲家は哀調を帯びた曲を作るのが得意です

・哀調を帯びたギターの旋律に思わず涙ぐんだ

「哀愁漂う」の英語表現

「哀愁漂う」の英語表現を紹介します

「melancholy」は「憂鬱」「哀愁」「もの悲しさ」を表す名詞、形容詞です。また、類語で紹介した「pathos(ペーソス)」でも表現できるでしょう。

Her melancholy melodies and beautiful voice echoed through the hall.

(彼女の哀愁漂うメロディーと美しい歌声が会場に響き渡りました)

His melancholy back is heartbreaking.

(彼の哀愁漂う背中に心を揺さぶられる)

There are many melancholy songs from the Showa era.

(昭和時代には哀愁漂う曲が多い)

The area is attractive for its melancholy landscape and I often visit for a walk.

(哀愁漂う風景が魅力的で、散歩がてらよく訪れています)

I feel pathos from her pictures.

(彼女の絵画には哀愁が漂っている)

「哀愁漂う」の意味は、なんとなくもの悲しい雰囲気があること

「哀愁漂う」は、「寂しくもの悲しい気持ち」という意味の「哀愁」と、「ある雰囲気や気配がその辺りになんとなく感じられる」という意味の「漂う」を組み合わせてできた言葉です。

2つを合わせることで「なんとなく寂しくもの悲しさに満ちている雰囲気」という意味の言葉になります。

「哀愁が漂う」のように、間に「が」という格助詞を付けて表現することも多いです。また「哀愁漂う人」や「哀愁漂う背中」、「哀愁漂う曲」などのように、悲しさを漂わせている人物・物事を指すこともできます。

この機会に使い方を覚えて、使いこなせるようになりましょう。