「日本の鉄道開業記念日」が10月14日になった“複雑な理由”とは
日本で鉄道が開業して今年で150年となる。JR各社がキャンペーンを計画するなど、開業日である10月14日に向けて、これから盛り上がりを見せていくだろう。だが、あまり知られていないが、開業日の4カ月前から一部区間で乗客を乗せて走り始めていた。なぜ鉄道開業日は10月14日になったのか。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
日本初の鉄道開業の
4カ月前から仮開業
今年は新橋〜横浜間に日本初の鉄道が開業してから150年の記念すべき年である。新橋〜横浜間を運行するJR東日本は記念SuicaやJR東日本全線を3日間乗り放題の特別企画乗車券の発売、レトロラッピング車両の運行など東日本各地でさまざまなイベントを企画。この他、JR各社の共同キャンペーンとしてJR全駅(4368駅)の入場券セット(70万円)を発売する。鉄道が開業した10月14日に向けて、これから盛り上がりを見せていくだろう。
ただ「鉄道はいつ開業したか」という問いに対して「10月14日」と即答するのは、実はちょっと躊躇われる。10月14日は新橋〜横浜間が全通した公式の開業日であるが、実はその4カ月前、6月12日に品川〜横浜間が仮開業していたことはあまり知られていない。なぜ仮開業という形を取ることになったのか。
そもそもの経緯を振り返ると、鉄道の建設が決定したのは明治政府成立の翌年、明治2年(1869年)11月のことだった。箱館戦争で旧幕府軍が降伏し、戊辰戦争が終結したのがその半年前のことと考えると、鉄道計画は明治維新のかなり早い段階から進んでいたことが分かる。