謎多き最新作『オールド』
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 映画『シックス・センス』『スプリット』などで知られるM・ナイト・シャマラン監督がリモートインタビューに応じ、時間をテーマにした最新作『オールド』(公開中)の誕生秘話について語った。(以下、映画の内容に一部触れています)

 『オールド』は、休暇でとあるビーチを訪れた家族が、時間が異常な速さで進む怪奇現象に見舞われるサバイバルスリラー。6歳だった息子は青年へと急成長し、ある少女はあっという間に妊娠。次々と意識を失う人々や海岸に打ち上げられた死体など、一息つく暇もなく新しい謎が次々と浮かび上がる。

 “時間”がテーマの映画を撮ることには、もともと興味があったシャマラン監督。時間を扱った映画は山ほどあるが、中でも彼に刺激を与えたのがクリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』(2014)だ。「『インターステラー』には1時間=地球での7年に相当する惑星が登場して、主人公が娘との時間を失っていく描写がありました。私は映画を観た時、ノーラン監督が表現する人間と時間の関係性に心を奪われたんです」

 映画の原案となったのは、時間や老いを描くフランスのグラフィック・ノベル「サンドキャッスル(原題) / Sandcastle」だ。愛する娘からのプレゼントとして小説を手にしたシャマラン監督は、作品の世界観に魅了され、次第に映画としてイメージ化するようになった。「この小説はとてもシネマティックだと感じましたね。滅多にそのような感情は抱かないのですが、作品を読んでいくうちに映画として捉えるようになり、私が構想する作品の土台にピッタリだったんです。『オールド』はまさに映画に影響された作品で、『この作品を撮るしかない!』とひらめいてから、自然な形で誕生しました。間違いなく、今まで挑戦したことのない野心的なプロジェクトです」

 母親がふと目を離した隙に少年は成人男性に成長するなど、ビーチでは人々の老いが加速する。怪奇現象に巻き込まれる家族を演じたキャストは、急激に年齢が変化するという設定に混乱しなかったのか?「全てのシーンにおいて、出演者は各キャラクターが何歳なのか把握していました。我々もシーン毎に年齢を説明したり、前のシーンからどれほどの時間が経過しているのか具体的な情報を共有していました」

 シャマラン監督といえば、自身の作品にカメオ出演することが恒例だ。本作でもカメオ出演を果たしているそうで、役柄こそ明かさなかったが「今回は二面性を持つキャラクターを演じてみることにしたんです。あるパートでは陽の部分を演じて、別のシーンではもう少し興味深い側面を見せます」とヒントをくれた。シャマラン監督曰く、カメオ出演は至福のひとときだそうで「普段は撮影や編集で頭がいっぱいなんですけど、カメオ出演する時だけは多忙な現場での日々を忘れることができるんです。今回もキャストのみなさんと楽しみながら演じさせてもらいました」と語っていた。(編集部・倉本拓弥)