チャイの新しい魅力。さっぱり飲めるレモングラスチャイ【夏のスパイスドリンク #1】

スパイス商人に学ぶ。スパイスドリンクの世界

神奈川県鎌倉市でスパイス専門店「アナン」を営むメタ・バラッツさんに夏のスパイスドリンクを教えてもらいました。アナンは祖父の代から続くスパイス商で、バラッツさんは3代目。幼いころからスパイスに囲まれて育ち、故郷であるインドにも度々足を運んでいるそう。

インドのスパイス文化や、日本人の舌に合うレシピを教えてくれるアナン邸には、近所の方が自然と集まり、スパイスについて楽しく会話する声が聞こえてきます。

「スパイスドリンクも夏と冬でブレンドを変えたり、伝統的なものから新しいものまであったりするので楽しいですよね」と話すバラッツさん。ご紹介してもらったドリンクは、本格的ながら飲みやすく、爽やかな味わいなものばかりです。

キッチン棚にずらっと並ぶスパイス。それだけでなく「畑でも育てていますよ」と、ターメリックやカモミール、レモングラスなどを摘んできてくれました。

今回、第1弾でご紹介するのは「レモングラスチャイ」です。普通のチャイよりもスッキリと飲めて、スパイシーさだけでなく爽やかな風味が楽しめます。一度飲んだら夏の定番ドリンクに仲間入りすること間違いなしですよ。

食後にはもちろん、スパイス系の料理と合わせるのもおすすめ。おいしく仕上げるポイントや、バラッツさんのこだわりも必見です。

西インドのスパイスドリンク「レモングラスチャイ」

「チャイとは、インドで “お茶” のこと。ミルクとブレンドされていても、ストレートでも、お茶であれば、チャイと呼ばれています。

レモングラスチャイは、インド全土で飲まれているものではなく、私の故郷である西インド、グジャラートという地域で親しまれている飲み物です。鼻からふわっと抜けるレモングラスとミントの香りが心地よく、スッキリと飲めますよ」

作り方はとても簡単で、アイスでもホットでも楽しめます。

材料(3~4人分)

・水……250㏄
・牛乳……500㏄
・アッサムCTC……小さじ4杯
・三温糖……25g
・レモングラス…1本(乾燥の場合は大さじ1杯程度)
・ミント……1掴み(乾燥の場合は小さじ1杯程度)
・カルダモン……4~5粒
・クローブ……3粒
・シナモンスティック……1本

スパイスはパウダーでも問題ありませんが、香りが出やすいので分量を調整しながら使用してください。

作り方

1. 鍋に水、カルダモン、クローブ、シナモンを加え火にかける

2. ぐつぐつと煮えてきたらアッサム、ミント、レモングラス、三温糖を加え1~2分煮出す

3. 2に牛乳を加え3回沸騰させる

4. 茶漉しでこして完成

おいしく仕上げるポイント

混ぜずに3回沸騰させる

「ぐつぐつ煮出している間、混ぜずに沸騰を3回繰り返します。そうすると、泡でできた膜の内側で、茶葉やスパイスがジャンプするんです。

紅茶を淹れるときにもジャンピングをさせるというやり方がありますが、原理は同じ。泡でフタをし、中で茶葉やスパイスが動くことで香り高く仕上がります。

これは子どものころ、祖母が教えてくれたおいしく作るポイントです!じつは、3回という数字自体には意味はないんですけど、今でも守っています。試しにやってみてくださいね」

アイスチャイは濃いめに作る

「アイスレモングラスチャイを作る場合は、氷を入れてしまうと味や香りが薄くなってしまうので、少し濃いめに作るのがいいですよ。

煮出し時間を1分くらい追加したり、濾すときにヘラでギュッギュと茶葉やスパイスを絞ったりしましょう」

三温糖でやさしい甘さに

「さっぱり飲みたいレモングラスチャイには、やさしい味わいの三温糖がおすすめ。好みの問題ですが、三温糖使うことでチャイがやさしくて丸い味わいになります。コクを出したいのであれば黒糖もいいですね」

新しいチャイの魅力を発見

飲むまで味が想像できなかったレモングラスチャイ。レモングラスは、クセが強そうなイメージがありましたが、実際に飲んでみると爽やかな香りが気持ちよく鼻から抜け、チャイの味わいと絶妙にマッチします。

これから迎える夏本番。冷房で体が冷えているときはホットにしたり、暑くてリフレッシュしたいときはアイスにしたりと、レモングラスチャイを新しい夏の定番ドリンクとして取り入れてみてくださいね。

第2弾は、黄金色が美しい「ゴールデンミルク(ターメリックラテ)」をご紹介します!本場の味を飲みやすくブレンドしたバラッツさんのレシピをお楽しみに。

取材・文/猪狩明日奈
撮影/實重かおり(macaroni 編集部)