禁煙治療用アプリが保険適用に=アドバイスや喫煙状況の可視化で禁煙支援

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近年、スマートフォン用のアプリを利用して症状を改善する「治療アプリ」に注目が集まっています。2020年11月11日には、日本で初めて禁煙治療用アプリが保険適用されました。ここでは、禁煙治療用アプリの機能や効果などについて、中島先生に詳しくお伺いします。

監修医師:
中島 由美 医師

金沢医科大学医学部卒業後、同大学病院にて小児科・内科として研修を積む。その後は複数の病院で内科医や皮膚科医として勤務。2018年より福岡市中央区に「国を超えた新しい形の医療を提供」をコンセプトに、クリスタル医科歯科クリニックを歯科医師である夫と開院。

禁煙治療用アプリに期待されていることは?

禁煙治療用アプリには、どのようなことを期待できるのか詳しく教えください。

中島先生

従来の禁煙治療では、ニコチン依存度や呼気一酸化炭素濃度などを判定した上で、12週間の治療期間の中で医師とのカウンセリングを5回受けながら個々に合った薬を使い治療を実施。薬による補助はあるものの、タバコを吸わずにいられるかどうかは個々の努力次第でした。

日本循環器学会によると、禁煙治療の1年後に再び喫煙してしまう割合は8~9割とのことです。今回開発された禁煙治療用アプリは、「禁煙治療を受けても再喫煙する人が多い問題」の解消が期待されています。

禁煙治療用アプリの機能とは?

禁煙治療用アプリの機能について、詳しく教えください。

中島先生

今回、保険適用になった禁煙治療用アプリは「CureApp SCニコチン依存症治療アプリ(患者用および医師用)」と「CO(一酸化炭素)チェッカー」の2つです。これらには、次の機能が搭載されています。

・呼気に含まれる一酸化炭素濃度の測定とグラフ化
・喫煙状況の医師への伝達
・医師への質問機能および回答機能
・モチベーション維持に役立つメッセージや動画などの提供

上記の機能によって、ニコチン依存症への理解を深めつつ、喫煙行動を改めることが狙いです。例えば、現在の気持ちをチャットで伝えると、患者に適した気分転換の方法が提案されます。また、COチェッカーの結果の推移をグラフで確認できるため、禁煙に対するモチベーションを保つのに役立ちます。

禁煙治療用アプリの使用期間は、医師による12週間の治療期間を含めて24週間です。国内での臨床試験では、同治療アプリを使用した人のうち、約1年後にも禁煙を継続している人が52.3%と、アプリを使用していない人と比べて10ポイント以上高い結果となりました。

まとめ

喫煙は、脳梗塞や虚血性心疾患、がん、2型糖尿病など、さまざまな病気との関連が明らかになっています。そのため、禁煙を意識する人が増えた一方で、従来の禁煙治療法では個々の努力が結果に直結するため、再び喫煙する率が高かったことが問題視されています。これから、より確実な禁煙を目指している人は、今回発表された禁煙治療用アプリの利用を検討してはいかがでしょうか。