ナニコレ? 瀬戸内の島の「足長小学生」道路標識 その正体も意外すぎた!
瀬戸内海の島の街角に立つ道路標識が、ユーモラスな姿で地元の名所となっています。この標識、実は思わぬ経歴をたどっていました。
「美しいストライド」ちょっとした有名人に
瀬戸内海に浮かぶ「大崎下島」の御手洗地区(広島県呉市)に、「足長小学生」と呼ばれている道路標識があります。
御手洗地区の「足長小学生」(画像:写真AC)。
「通学路につき注意」を意味すると思われるこの標識、普段見かける標識とは異なるデザインです。足を大きく広げ、のびのびと駆けているユーモラスな姿が話題となり、訪問客が標識の前で同じポーズの写真を撮ってSNSに投稿するなど、御手洗地区のちょっとした名所になっています。
元々は「全国標準」だった
この道路標識について国土交通省道路局に尋ねたところ、デザインや設置基準などを定めた通称「道路標識令」の1950(昭和25)年改正で誕生した標識とのこと。資料を確認すると、1963(昭和38)年の改正時にはすでに姿を消していました。
昭和25年改正は戦後最初に行われた、道路標識令の全面改正になります。この時、今の道路の標識の基本となる、案内・警戒・指示・規制標識の概念が初めて導入されました(規制標識は当時、禁止または指導標識)。また、警戒標識の「菱形でオレンジ」というデザインが誕生したのもこの時です。
つまり「足長小学生」は、「警戒標識の最初のメンバー」のひとりとして、わが国戦後初の「全国標準」に認定されていたのです。そして、長くてもわずか10数年で、歴史の表舞台から去ることになった、「幻の標識」でもあったのです。
現在この標識は、千葉県白井市やいくつかの場所でも存在が確認されていますが、全国の残存状況はよくわかっていません。ただ、国内でもっとも注目されている「足長小学生」は、設置から半世紀以上経った今も、大崎下島の御手洗地区の街角で、元気に飛び跳ねています。