自己肯定感は、「高めよう」としちゃダメ!余計につらくなる間違った高め方とは?
昨今、ビジネスも人間関係も、恋愛も子育ても「自己肯定感が大事」だといわれます。
そんな中で「自己肯定感の高め方がブームのようになると、かえって危険」だと警鐘を鳴らすのは『「自己肯定感低めの人」のための本』(アスコム)の著者、山根洋士さん。
山根さんは、これまで延べ8000人の悩みに答え、「心のクセ」を直すサポートをしてきた、実践第一のカウンセラーです。今回は、そんな山根さんに、自己肯定感の間違った高め方と、悩み解消におすすめの心のエクササイズを聞きました。
■ 高めようとする前に、自己否定をやめることが大事
----ご著書の最初のページを見て驚きました。“この本には自己肯定感の高め方は書いていない”と宣言されています。この意図についてあらためて聞かせてください。
山根:「自己肯定感を高めなきゃ!」という呪縛から、まず逃れてほしいからです。ここ数年、自己肯定感ブームのようになっていて、「高いといい」「低いとダメ」という情報をよく目にするようになりました。
すると高めなきゃ、というプレッシャーを感じて、逆に悩みが深まってしまう人が出てきたんです。いわば“自己肯定感うつ”みたいな状態。
実は過去にも、ポジティブシンキングが流行ったときに、ネガティブな自分はダメなんだと悩む人が増えました。それと同じで、ブームになると言葉が一人歩きして、一つの価値基準になってしまって「勝ち組・負け組」みたいに分かれてしまうんですね。
----自己肯定感という言葉があるから、自分の価値を測る対象ができてしまった、ということですか。
山根:そうです。もっというと、自己肯定感を気にしているのは、低いと思っている人だけです。高い人は自分の自己肯定感の高さなんて気にしていません。
自己肯定感という言葉は、理想的な心のありようを端的に示しているから、多くの人が共感し、納得しました。しかしその一方で、コンプレックスをわかりやすく浮き彫りにしてしまう作用もあるのだと思います。だから今回の本では、自己肯定感の高め方ではなくて、低くても悩まないようになる方法を意識しました。
----その違いは、具体的にはどういうことなのでしょうか。
山根:ゴールは同じですが、積極的に加点(自己肯定)していくアプローチと、減点(自己否定)をなくしていくアプローチの違いだと思っています。
自分を減点しがちな人が、いきなり加点しようとすると、かえってつらくなることがあります。よかれと思ってやっているワークが、実は逆効果になってしまうんです。
----間違った高め方があるということですか?
山根:よくあるのが、「自分の長所を探そう」とか「前向きな言葉を使おう」というワーク。これでうまくいく人もいますが、そういう人は、すでに自己肯定感の土台がある人なんです。
自己否定のクセがある人がやろうとすると、「長所が見つからない自分はめちゃくちゃダメだ…」なんて余計に落ち込んでしまいます。「運動を習慣にしよう」とか「毎日小さな目標を立てよう」というワークも同じで、「それができたらとっくに自己肯定できてるわ!」とか思ってしまうわけです。
----まず自己否定をやめて、それから肯定していくという順序があるんですね。
山根:そうです。病気で寝込んでいる人に、いきなり筋トレなんて勧めたら体を壊してしまいますよね。まずは病気を治して、フラットな状態になってからです。
■「心のノイズ」を知ることで、自分責めのループから抜け出す
----そのフラットな状態に戻す方法が、本に書かれている「心のクセ」を直すことなんですね。
山根:他人と比べてしまうとか、言いたいことを我慢してしまうとか、自分には無理だと思ってしまうとか。そういった、ついやってしまう心のクセを自覚することが、自己否定から抜け出す大事なステップです。
自己肯定感が低いと、凹む、落ち込む、悲しくなる、などといった瞬間がたくさんあります。これらの感情に支配されてしまうと、自分責めのループから抜け出せません。だから客観的に「なぜ自分はそうなってしまうのか」を理解して、原因を認識すると、自分責めをやめるきっかけになるんです。
----つい他人と比べてしまうなどは、確かにありがちです。でもそれは、そういう性格だからどうしようもないと思ってしまう気もするのですが。
山根:そこがミソで、自分の内面で起こっていることを客観視するのって、意外と難しいことなんです。感情と思考がごちゃごちゃになってしまいますから。
それに、自覚的なクセならまだいいですが、まったく意識していないクセもありますよね。でも実は、そういったクセは生まれもっての変え難い性質ではなくて、生まれてから今までの間に、潜在的に刷り込まれてきた価値観や思考の偏りなんです。それを私はメンタルノイズと呼んでいます。
----ノイズのせいなんだと言われると、何かに邪魔されているようなイメージが持てますね。
山根:心の問題は難しく考えるほど沼にはまります。自己肯定感が低めの人は、悩みにぶつかったら、とりあえず「ノイズ出てるな」とか「またノイズだよ」とノイズのせいにしてみてほしいです。
そして、自分にどんなノイズがあって、どうすればノイズの影響を避けられるかは本にまとめてあるので、ぜひ読んでみてほしいと思います。
(後編に続く)
■山根洋士Youtube公式チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCslhXIh3I5Z-tSUubCYwLUQ
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山根さんは、これまで延べ8000人の悩みに答え、「心のクセ」を直すサポートをしてきた、実践第一のカウンセラーです。今回は、そんな山根さんに、自己肯定感の間違った高め方と、悩み解消におすすめの心のエクササイズを聞きました。
----ご著書の最初のページを見て驚きました。“この本には自己肯定感の高め方は書いていない”と宣言されています。この意図についてあらためて聞かせてください。
山根:「自己肯定感を高めなきゃ!」という呪縛から、まず逃れてほしいからです。ここ数年、自己肯定感ブームのようになっていて、「高いといい」「低いとダメ」という情報をよく目にするようになりました。
すると高めなきゃ、というプレッシャーを感じて、逆に悩みが深まってしまう人が出てきたんです。いわば“自己肯定感うつ”みたいな状態。
実は過去にも、ポジティブシンキングが流行ったときに、ネガティブな自分はダメなんだと悩む人が増えました。それと同じで、ブームになると言葉が一人歩きして、一つの価値基準になってしまって「勝ち組・負け組」みたいに分かれてしまうんですね。
----自己肯定感という言葉があるから、自分の価値を測る対象ができてしまった、ということですか。
山根:そうです。もっというと、自己肯定感を気にしているのは、低いと思っている人だけです。高い人は自分の自己肯定感の高さなんて気にしていません。
自己肯定感という言葉は、理想的な心のありようを端的に示しているから、多くの人が共感し、納得しました。しかしその一方で、コンプレックスをわかりやすく浮き彫りにしてしまう作用もあるのだと思います。だから今回の本では、自己肯定感の高め方ではなくて、低くても悩まないようになる方法を意識しました。
----その違いは、具体的にはどういうことなのでしょうか。
山根:ゴールは同じですが、積極的に加点(自己肯定)していくアプローチと、減点(自己否定)をなくしていくアプローチの違いだと思っています。
自分を減点しがちな人が、いきなり加点しようとすると、かえってつらくなることがあります。よかれと思ってやっているワークが、実は逆効果になってしまうんです。
----間違った高め方があるということですか?
山根:よくあるのが、「自分の長所を探そう」とか「前向きな言葉を使おう」というワーク。これでうまくいく人もいますが、そういう人は、すでに自己肯定感の土台がある人なんです。
自己否定のクセがある人がやろうとすると、「長所が見つからない自分はめちゃくちゃダメだ…」なんて余計に落ち込んでしまいます。「運動を習慣にしよう」とか「毎日小さな目標を立てよう」というワークも同じで、「それができたらとっくに自己肯定できてるわ!」とか思ってしまうわけです。
----まず自己否定をやめて、それから肯定していくという順序があるんですね。
山根:そうです。病気で寝込んでいる人に、いきなり筋トレなんて勧めたら体を壊してしまいますよね。まずは病気を治して、フラットな状態になってからです。
■「心のノイズ」を知ることで、自分責めのループから抜け出す
----そのフラットな状態に戻す方法が、本に書かれている「心のクセ」を直すことなんですね。
山根:他人と比べてしまうとか、言いたいことを我慢してしまうとか、自分には無理だと思ってしまうとか。そういった、ついやってしまう心のクセを自覚することが、自己否定から抜け出す大事なステップです。
自己肯定感が低いと、凹む、落ち込む、悲しくなる、などといった瞬間がたくさんあります。これらの感情に支配されてしまうと、自分責めのループから抜け出せません。だから客観的に「なぜ自分はそうなってしまうのか」を理解して、原因を認識すると、自分責めをやめるきっかけになるんです。
----つい他人と比べてしまうなどは、確かにありがちです。でもそれは、そういう性格だからどうしようもないと思ってしまう気もするのですが。
山根:そこがミソで、自分の内面で起こっていることを客観視するのって、意外と難しいことなんです。感情と思考がごちゃごちゃになってしまいますから。
それに、自覚的なクセならまだいいですが、まったく意識していないクセもありますよね。でも実は、そういったクセは生まれもっての変え難い性質ではなくて、生まれてから今までの間に、潜在的に刷り込まれてきた価値観や思考の偏りなんです。それを私はメンタルノイズと呼んでいます。
----ノイズのせいなんだと言われると、何かに邪魔されているようなイメージが持てますね。
山根:心の問題は難しく考えるほど沼にはまります。自己肯定感が低めの人は、悩みにぶつかったら、とりあえず「ノイズ出てるな」とか「またノイズだよ」とノイズのせいにしてみてほしいです。
そして、自分にどんなノイズがあって、どうすればノイズの影響を避けられるかは本にまとめてあるので、ぜひ読んでみてほしいと思います。
(後編に続く)
■山根洋士Youtube公式チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCslhXIh3I5Z-tSUubCYwLUQ
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