コロナ時代の副業 ネット輸入販売に向いている人とは
新型コロナウイルスの影響で、昇給が見送られたりボーナスがカットになったりと、収入に多かれ少なかれ打撃を受けた人、そして直接打撃は受けずとも、一つの収入元に生活が依存することに不安を覚えた人は少なくないはず。会社だけに頼らず、個人の力でお金を稼げるかどうかは、これからさらに大事になってくるのかもしれない。
『「ゆる副業」のはじめかた 輸入・ネット販売 時間も手間もセンスもいらないから誰でもできる!』(梅田潤著、翔泳社刊)は、個人で稼いでいくことの一つの方向性を示す一冊。インターネットを通じて海外から商品を輸入。国内で販売する輸入ビジネスのノウハウを紹介しているのだが、注目すべきは、会社の仕事や家族の時間を妨げない程度、1日1時間程度の作業で、「大儲け」ではなく「そこそこの金額」を稼ぎつづけることをテーマにしていること。
この副業方法のキモになるポイントと注意すべきこと、失敗しがちなことについて、今回は著者の梅田潤さんにお話をうかがった。
■すきま時間でできる サラリーマン向けの副業の筆頭は・・・
――まず、本書でいう「ゆる副業」とはどのようなものなのか教えていただければと思います。
梅田:副業についての本って、昔からたくさん出ていて、それを読むと「月50万円稼げる」とか、けっこう大きな額が書いてあるんですけど、当然そんなに稼げるまでにはかなりの努力が必要です。サラリーマンの傍らでやるにはちょっとハードルが高いんですよね。それに、あまりそっちをがんばりすぎて、家族と一緒に過ごす時間がないということになったりすると本末転倒じゃないですか。
じゃあ、現実的なところで、会社勤めをしつつ、家族や大事な人との時間も持ちつつ、無理なく稼げる額ってどのくらいなのかと考えると、月に10万円くらいかなと。
そのくらいをゆるく稼ぎつつ、会社は会社でしっかりやりつつ、家族との時間も大事にしましょうというのが今回の本でかいた「ゆる副業」です。
――「月10万円」はかなりすごいことのように思えます。この10万円のためにどのくらいの時間をかけることを想定していますか?
梅田:最初だけちょっと時間がかかりますが、軌道に乗ったら1日1時間くらいで十分できます。
――今はテレワークをする人が増えて、通勤の時間が浮くケースが多そうです。1時間なら捻出できる気がします。
梅田: そうだと思います。今回の本で紹介している副業法は、通勤時間が浮いた方はその時間でもできますし、インターネット環境があればできるものなので、通勤している方も通勤中にできます。時間や場所を選ばないのが特徴です。
――今回の本で梅田さんが紹介しているのは、Amazonやヤフオク!といったプラットフォームを通して、海外から輸入した商品を販売するというものです。この方法は梅田さんも当初は副業として始めたんですか?
梅田:そうです。ただ、私はうまくいったら会社をやめて独立したいとは始めた時から考えていました。
――本の中では「ゴールは独立・起業ではない」ということを書かれていましたが、梅田さんはどのタイミングで独立しようと決断できたのでしょうか。
梅田:結婚していたので妻とも話して、会社員の時の給料を副業で稼げるようになったら独立してもいいということで納得してもらっていました。
――それは今回の本の読者の方にも、一般論として言えることですか?
梅田:アドバイスとして言える部分もあります。ただ、大事なのはその人の「ゴール」がどこにあるかということなんです。
副業の本を読むと、「会社勤め=悪・個人で稼ぐ=善」という書かれ方をされていることが多いのですが、私はそんなことは思いません。企業にいないとできないことはまちがいなくあるので、そこでがんばって実現したいことがある人は、ある程度会社に守らってもらいながら会社勤めを続けるべきです。そのうえでプラスアルファの収入を得る手段として副業をすればいい。もちろん、どうしても会社に勤めるよりも、個人でもっと自由に生きたいという人は独立すればいいと思っています。
――本書ではインターネットを活用した輸入販売を会社員の副業向きだとしています。この理由はどんな点にありますか?
梅田:さきほどのお話にもありましたが、場所を選ばないというのが大きいです。1時間と言いましたが、一度に1時間でなくても、15分や20分のすきま時間を合わせて1時間くらい時間をつくれれば、月に10万円くらいなら利益を出せるようになります。
もう一つは、元手が少なく始められるというのも会社員向きです。株やFXの場合、少なくとも100万円くらいは元手が必要ですし、不動産投資などはもっと必要です。一方で、今回の本で紹介しているような輸入販売であれば、5万円くらいの元手でできます。そのくらいなら身の回りの不用品を売ったりして作れる額ですよね。私も最初は不用品を売った5万円で始めました。
――梅田さんはその5万円でまず何をしたんですか?
梅田:中国の品物を扱っている輸入代行業者に、仕入れたい商品を伝えて、それを5万円ぶん、買えるだけ買いました。高くても一つ1000円くらいの商品に目をつけていたので、かなりの数になりましたが。
――それを売って得たお金で、また仕入れて、ということですね。
梅田:そうですね。それを繰り返してだんだん雪だるまが大きくなっていくという。傾向として、中国からの輸入商品は利益率が大きいので、仕入れて売ってを繰り返すほど儲けが大きくなりやすいです。
――具体的に何を売ったのかがすごく気になるのですが・・・。
梅田:最初に買ったのは顕微鏡とかLEDのキャンドルライトとか、関節が動いて形を変えられる木製のデッサン用の手みたいな商品などです。中国から仕入れて売るとよく売れたんです。
――どうしてそういうものに目をつけたんですか?
梅田:それは簡単な話で、Amazonで売れ筋の商品のデータがわかるツールがあるんです。やっぱり今すでに売れているものを自分も売るというのが一番手堅いですね。
今でも月額2000円ほどでそのデータを見られるので、今回の本でもそれを見て仕入られる商品を探し出す方法をお伝えしています。
――売れている品物はいろいろな人が手を出すでしょうから、仕入れたとしても自分のところから買ってくれるかはわからないですよね。
梅田:そうですね。だから最初から大量に仕入れるのではなくて、少し仕入れて売ってみて、売れるようなら次はもう少し仕入れの数を増やすとか、競合が入ってきて値下げ合戦が始まっているようなら、別の商品を探すとか、最初はその繰り返しになりますね。
ただ、なかには何年も値崩れを起こさずに売れ続けている商品とか、クリスマスやハロウィンなどのイベントの時期になると毎年たくさん売れ続ける商品もあるんですよ。いわゆる「定番」と呼ばれる商品なのですが、そういうものをいくつか持っておくと、収入の土台になり安定します。
――Amazonのデータを調べて、商品を仕入れて売るというのはかなり地味な作業ですが、向いている人と向いてない人はいますか?
梅田:コツコツできる人は向いているというのはもちろんですが、ネットだけでなく雑貨屋さんとかを見て歩いて、商品を見るのが好きな人は向いています。どこにどんな商品があって、何が売れているかにアンテナを常に張っておける人は、やはりうまくいきやすいと思います。
(後編につづく)
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■すきま時間でできる サラリーマン向けの副業の筆頭は・・・
――まず、本書でいう「ゆる副業」とはどのようなものなのか教えていただければと思います。
梅田:副業についての本って、昔からたくさん出ていて、それを読むと「月50万円稼げる」とか、けっこう大きな額が書いてあるんですけど、当然そんなに稼げるまでにはかなりの努力が必要です。サラリーマンの傍らでやるにはちょっとハードルが高いんですよね。それに、あまりそっちをがんばりすぎて、家族と一緒に過ごす時間がないということになったりすると本末転倒じゃないですか。
じゃあ、現実的なところで、会社勤めをしつつ、家族や大事な人との時間も持ちつつ、無理なく稼げる額ってどのくらいなのかと考えると、月に10万円くらいかなと。
そのくらいをゆるく稼ぎつつ、会社は会社でしっかりやりつつ、家族との時間も大事にしましょうというのが今回の本でかいた「ゆる副業」です。
――「月10万円」はかなりすごいことのように思えます。この10万円のためにどのくらいの時間をかけることを想定していますか?
梅田:最初だけちょっと時間がかかりますが、軌道に乗ったら1日1時間くらいで十分できます。
――今はテレワークをする人が増えて、通勤の時間が浮くケースが多そうです。1時間なら捻出できる気がします。
梅田: そうだと思います。今回の本で紹介している副業法は、通勤時間が浮いた方はその時間でもできますし、インターネット環境があればできるものなので、通勤している方も通勤中にできます。時間や場所を選ばないのが特徴です。
――今回の本で梅田さんが紹介しているのは、Amazonやヤフオク!といったプラットフォームを通して、海外から輸入した商品を販売するというものです。この方法は梅田さんも当初は副業として始めたんですか?
梅田:そうです。ただ、私はうまくいったら会社をやめて独立したいとは始めた時から考えていました。
――本の中では「ゴールは独立・起業ではない」ということを書かれていましたが、梅田さんはどのタイミングで独立しようと決断できたのでしょうか。
梅田:結婚していたので妻とも話して、会社員の時の給料を副業で稼げるようになったら独立してもいいということで納得してもらっていました。
――それは今回の本の読者の方にも、一般論として言えることですか?
梅田:アドバイスとして言える部分もあります。ただ、大事なのはその人の「ゴール」がどこにあるかということなんです。
副業の本を読むと、「会社勤め=悪・個人で稼ぐ=善」という書かれ方をされていることが多いのですが、私はそんなことは思いません。企業にいないとできないことはまちがいなくあるので、そこでがんばって実現したいことがある人は、ある程度会社に守らってもらいながら会社勤めを続けるべきです。そのうえでプラスアルファの収入を得る手段として副業をすればいい。もちろん、どうしても会社に勤めるよりも、個人でもっと自由に生きたいという人は独立すればいいと思っています。
――本書ではインターネットを活用した輸入販売を会社員の副業向きだとしています。この理由はどんな点にありますか?
梅田:さきほどのお話にもありましたが、場所を選ばないというのが大きいです。1時間と言いましたが、一度に1時間でなくても、15分や20分のすきま時間を合わせて1時間くらい時間をつくれれば、月に10万円くらいなら利益を出せるようになります。
もう一つは、元手が少なく始められるというのも会社員向きです。株やFXの場合、少なくとも100万円くらいは元手が必要ですし、不動産投資などはもっと必要です。一方で、今回の本で紹介しているような輸入販売であれば、5万円くらいの元手でできます。そのくらいなら身の回りの不用品を売ったりして作れる額ですよね。私も最初は不用品を売った5万円で始めました。
――梅田さんはその5万円でまず何をしたんですか?
梅田:中国の品物を扱っている輸入代行業者に、仕入れたい商品を伝えて、それを5万円ぶん、買えるだけ買いました。高くても一つ1000円くらいの商品に目をつけていたので、かなりの数になりましたが。
――それを売って得たお金で、また仕入れて、ということですね。
梅田:そうですね。それを繰り返してだんだん雪だるまが大きくなっていくという。傾向として、中国からの輸入商品は利益率が大きいので、仕入れて売ってを繰り返すほど儲けが大きくなりやすいです。
――具体的に何を売ったのかがすごく気になるのですが・・・。
梅田:最初に買ったのは顕微鏡とかLEDのキャンドルライトとか、関節が動いて形を変えられる木製のデッサン用の手みたいな商品などです。中国から仕入れて売るとよく売れたんです。
――どうしてそういうものに目をつけたんですか?
梅田:それは簡単な話で、Amazonで売れ筋の商品のデータがわかるツールがあるんです。やっぱり今すでに売れているものを自分も売るというのが一番手堅いですね。
今でも月額2000円ほどでそのデータを見られるので、今回の本でもそれを見て仕入られる商品を探し出す方法をお伝えしています。
――売れている品物はいろいろな人が手を出すでしょうから、仕入れたとしても自分のところから買ってくれるかはわからないですよね。
梅田:そうですね。だから最初から大量に仕入れるのではなくて、少し仕入れて売ってみて、売れるようなら次はもう少し仕入れの数を増やすとか、競合が入ってきて値下げ合戦が始まっているようなら、別の商品を探すとか、最初はその繰り返しになりますね。
ただ、なかには何年も値崩れを起こさずに売れ続けている商品とか、クリスマスやハロウィンなどのイベントの時期になると毎年たくさん売れ続ける商品もあるんですよ。いわゆる「定番」と呼ばれる商品なのですが、そういうものをいくつか持っておくと、収入の土台になり安定します。
――Amazonのデータを調べて、商品を仕入れて売るというのはかなり地味な作業ですが、向いている人と向いてない人はいますか?
梅田:コツコツできる人は向いているというのはもちろんですが、ネットだけでなく雑貨屋さんとかを見て歩いて、商品を見るのが好きな人は向いています。どこにどんな商品があって、何が売れているかにアンテナを常に張っておける人は、やはりうまくいきやすいと思います。
(後編につづく)
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