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強い大関たちが綱を目指す充実の時代へ!

未来がまた明るくなるような千秋楽でした。初優勝を狙うは関脇の正代。本割で勝てばそのまま優勝、負ければ決定戦もあるぞという状況。朝まで眠れなかったと語るなど、人生の懸かる大一番を前に持ち前の「ネガティブ」も首をもたげたようです。しかし、その不安や弱気も含めて、チカラでねじ伏せるような相撲でした。

対戦相手は好調しかも初顔の翔猿。勢いもあって、いかにもやりづらそうな相手です。御嶽海が相手だったなら深く考えずに正攻法で押し切れそうな感じもありますが、翔猿は何をやってくるかわからない怖さがあります。実際に苦しみました。前に出て、いなしてもすかさず次の攻めを繰り出してくる翔猿の鋭い攻め。引いたかと思えば今度は横にまわられてあわやという場面もありました。

しかし、翔猿の両差し…というよりは正代が翔猿の両腕を決めたという格好から、チカラで翔猿の身体を引っこ抜くように持ち上げると最後は自分の弱気も含めて土俵に叩きつける逆転の突き落とし。突き落としは得てして劣勢のなかで勝利を求める窮余の策ではありますが、同時に「絶対に土俵は割らないぞ」という粘りがある日にだけ決まる「心技体充実」の時に助けてくれる技でもあります。

小さく小刻みにうなずきながら勝ち名乗りを受けに戻る正代の姿。そこにはネガティブを装う様子はもはやありません。狙って、勝った。狙って、獲った。翔猿に勝つと同時に、正代が正代に勝った、そんな一番でした。この優勝で大関は確実となったわけですが、この正代なら立派に大関をつとめてくれるでしょう。そして堂々と綱への意欲を見せてくれるでしょう。また相撲が面白くなりました!

↓初場所であと一歩のところで優勝を逃した悔しさを、大関昇進とセットの倍返しで晴らした!


「直前三場所32勝」や「横綱不在」などに難癖をつける輩もいるでしょうが、無視でOK!

今の正代をあげずにどうするという充実ぶりです!


↓正代が勝つと花火をあげる地元・熊本では、優勝を祝う20発の花火が!

相撲取りが勝ったの負けたので地元がこんなに盛り上がるなんて、なんというコスパのよさ!

地域活性化コスパランキングでもあれば、サッカーやバスケよりも断然相撲!



この一年に開催された5場所で優勝1回、準優勝2回、二桁勝利4回という正代の素晴らしい成績。大関は当然として、さらにその上も目指せる「器」の大きさを感じさせます。そして、そうした数字が単なる数字上のものではなく、実感として「充実」を感じられるのは周囲の充実によるものでもあります。

千秋楽結びの一番。両横綱が初日から不在という、本来なら空疎な場所となるべき状況が、まったくその寂しさを感じさせません。序盤苦しみながらも最後は優勝争いにまで顔を出した朝乃山と、突き押しに力強さが戻ってきた貴景勝の大関同士による結びは、優勝争いの可能性を直前まで残していた価値ある一番であり、そして何より面白かった。

貴景勝が強く当たった立ち合いと、それをガッチリと受け止めた朝乃山。岩のように丸まっておっつけとはず押しで当たってくる貴景勝に対して、右の差し手から持ち上げ上体を起こそうとする朝乃山。剣豪がひとつふたつ刀を交えたのち再び距離を置くような一瞬の間を作ったのち、再び丸まって当たりに行く貴景勝と、もう一度差しに行こうとする朝乃山。

最後は貴景勝の押しが勝って、朝乃山は土俵下まで飛んでいきましたが、このあたりは今場所の出来の差が出たでしょうか。それでも互いに自分の強みを理解し、自分の形を持った両者が、それをぶつけ合う攻防でした。横綱がいなくても「強い者同士の激突で場所を締める」ことがしっかりとできました。弱い者のなかで決まった1位ではなく、強い者が争った末の1位だったことが、この結びからも伝わってきます。

優勝・昇進で勢いに乗る正代、「終わった」という声を跳ね返して婚約場所を明るく終えた貴景勝、そして負けてなお強しというか何だったんだ序盤の連敗もっとしっかりせえ部屋での稽古が充実してないんと違うか来場所は初日からギア上げていかなアカンぞという朝乃山。この三つ巴があったうえに、さらに横綱もそろそろ在宅勤務を切り上げるだろうと思うと、早くも来場所が楽しみになるような千秋楽でした。早く11月が来て欲しいですね!

↓「お互いにいいとこ見せてキレイに終わろうか」ではない真剣勝負がまたいい!

「怪我なく、無理なく、お互いにいいとこ見せてキレイに終わろう」という結びが近年多かったですからね!

優勝関係ないのに土俵下まで吹っ飛んでいく結び、いいと思います!



ネガティブというのはすなわち冷静さだと思います。自分のチカラを客観的に判断できる聡明さがあるからこそ、連勝のなかでも「ここから連敗するかもしれない」という言葉が出たり、三賞に手が届いたときに「勝ち越し」の手応えを語り、優勝に手が届きそうなときに「三勝」を気に掛けるという足元を見つめるような発言も生まれるのでしょう。一歩ずつ階段をのぼり、歩みはゆったりとしているぶん、のぼったぶんは自分のものにしていくような着実さが正代にはあります。

夜のNHK「サンデースポーツ2020」に出演した際、まだ決定ではない大関としての心構えを問われたとき、おっと注目しました。ネガティブ正代であれば「まだ決まっていないので」「もしそうなればですが」「実感がわかないのですが」といった但し書きが添えられるのではないかと思ったのです。しかし、正代はその問い掛けを戸惑いすらなく当然のことと受け止め、「今場所のように立ち合いから前に出て元気な相撲を取りたい」と応じました。すでに大関の顔でした。

腰高で押し込まれることも多く、それを柔らかい吸収力と粘り腰で補ってきた正代。その柔らかさがネガティブ正代だったとすれば、今はその生来の柔らかさに力強い当たりと速攻が加わった本格正代となりました。それまさにお相撲さんのひとつの理想形である「気は優しくて力持ち」の人物像。勝っても負けても心がほっと温かくなる新大関、今の殺伐とした世の中を癒してくれるありがたい存在です!

↓正代のまわりにある、あったかーい世界が心地よい!

勝ったとき、まわりの人が一緒に泣いてくれる!

こんなに雄弁な「温かさ」はありません!

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稀勢の里以後4年近く「大関の優勝」がないので、来場所あたり見たいです!