iPhone SE公式サイト

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アップルの新型スマートフォン「iPhone SE」が発表された。

一番安いモデルは5万円以下に設定されていて、コストパフォーマンスの高さが話題になっている。この機種は、スマホ業界にどんな影響を与えるのだろうか。

4万9280円から

2020年4月24日に発売された新機種は、16年に発売された「iPhone SE」のネーミングを踏襲しつつ、iPhone 8(17年発売)の後継でもある。現在の旗艦機種であるiPhone 11 Proにも搭載されている、A13 Bionicチップを採用することで、小さいサイズながら性能を高めているのが特徴だ。

そして、一番のポイントは価格の安さだ。日本での直販価格は、64GB(ギガバイト)が4万9280円、128GBが5万4780円、256GBが6万6880円(以下税込)。ネット上では「コスパが良い」との反応も見られる。

iPhone低価格化の傾向は、半年ほど前から出ていた。最廉価モデルの直販価格は、ここ数年649米ドル(7=16年発売)、699ドル(8=17年)、749ドル(XR=18年)と右肩上がりだったが、19年9月発売の「iPhone 11」は699ドルに「値下げ」された。そして今回のSEが399ドル。GoogleのAndroidスマホ「Pixel 4」(19年10月発売、799ドル)の半値とあって、インパクトは大きい。

2万円台で「話題のスマホ」が!

先にあげた価格は、あくまでアップル直販のものだ。携帯電話事業者(キャリア)ではそれぞれ、NTTドコモが5万7024円、au(KDDI)が5万5270円、ソフトバンクが5万7600円からと、数千円上乗せされている。一方で、各種割引を適用した「実質負担額」は、いずれも2万円台となる。新型コロナウイルス感染拡大による総務省の要請により、3大キャリアでの発売は5月11日に延期されたが、いざ発売が始まれば「2万円台で話題のスマホが!」と攻勢をかけるはずだ。

19年10月の改正電気通信事業法施行にともない、端末の値引き上限は2万円に設定された。端末価格の上下に関係ないので、安価であればあるほど「値下げ感」は強くなり、キャリアにとって目玉商品になりうる。

一方でiPhone SEは、日本でも商用サービスがスタートした、高速大容量通信規格の5Gには対応していない。5G対応のiPhone 11後継機が年内にも出ると噂されるが、目立った違いが「5Gか、そうじゃないか」だけであれば、安価なSEへ移行するユーザーも増えるだろう。

「コスパの良い」新機種の投入によって、共食いのリスクは高まる。旗艦モデルならではの付加価値で差別化できなければ、アップルは自分の首を絞めるだけになってしまう。iPhone最大のライバルは、iPhoneそのものなのかもしれない。

(J-CASTニュース編集部 城戸譲)