ブラジルでは清水時代の“恩師”エメルソン・レオン氏ともたびたび会っては様々な話をするという。

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 現在、生活の拠点をブラジルに置き、サンパウロのクラブであるソコーロSCのU-20チーム監督を務める三浦泰年氏をブラジルの大手メディアが注目している。同国最大の放送局である『グローボ』公式サイトが1月7日、同2日から開幕したコパ・サンパウロに参加しているソコーロSCの三浦監督にスポットを当てた記事を公開した。

 横浜FCで現役を続ける“カズ”こと三浦知良の兄で、元日本代表の三浦泰年氏は、2018年シーズンに当時指揮を執っていたJ3の鹿児島ユナイテッドFCをJ2昇格に導いたものの翌シーズンの契約を更新せず、昨年はJクラブでの指揮を執らなかった。そして、自身が永住権を持つブラジルに生活の拠点を移すことを選択。1年の約半分をブラジルの地で過ごしつつ、日伯文化交流の懸け橋として自身に何ができるかを模索してきた。

 そして昨秋、2020年初頭に開幕するブラジル全国規模のU-20世代ビッグトーナメントである「コパ・サンパウロ」に参戦予定のソコーロSCから、U-20監督就任のオファーが舞い込む。三浦氏がこれを受諾し、ブラジルのU-20チームで指揮官を務めることになった。

 大会には127チームが参加(※当初128チームもフラメンゴが辞退)。4チームずつ32のグループに分かれて、1次リーグを戦うが、ソコーロSCはフルミネンセ、イトゥアーノといった強豪チームと同居。すでに7日までにこの2チームと対戦して2連敗を喫し、グループ敗退が決定している。

『グローボ』公式サイトは「同時通訳と感情:コパ・サンパウロの日本人監督はどのように話すのかに注目」と題した記事で、三浦氏を「カズの兄で、ブラジルサッカー史上初めての日本人監督である」と紹介。取り上げた試合は2戦目のイトゥアーノ戦で、記事内に添付された動画では、試合前後のロッカールームで熱い言葉で選手たちを鼓舞する三浦氏の姿が映し出されている。

 イトゥアーノ戦は結局、0-2の敗戦に終わるが、試合後のロッカールームで三浦監督は「勝ち上がる可能性はなくなったけれど、みんなには感謝している」と始めると、続けて「最後の試合は生涯サッカーを愛していくサッカー人として、非常に大事な試合になると思っている」と語り掛けていく。2敗してしまったことでモチベーションの低下が心配される選手に向けて、「次は一人ひとりの男としてのプライドを懸けて、人間としての、サッカー人としての心を懸けて戦う。だから、自分たちにとっては消化試合、可能性のない試合なんてないんだ」と、さらに熱い言葉を選手たちに投げ掛けた。

 最終戦のヴィルヘネンセ戦は1月8日に行なわれる予定。三浦監督らしい熱い気持ちのこもったミーティングを経て、チームは初勝利を掴めるだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部