1/7夢のように幻想的なこの写真は、ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた可視光(紫)と、X線観測衛星「チャンドラ」が捉えた高周波光(青)を組み合わせたものだ。「メシエ33(M33)」銀河に位置する、「NGC604」と呼ばれる極めて活発な星形成領域の活動を伝えている(フランスの天文学者シャルル・メシエは、1700年代はじめに数々の星雲や星団を発見し、天体カタログを編纂した)。わたしたちの目には見えないが、この領域にはおよそ200個の活発な若い星があり、それがNGC604の明るく輝く煙のようなガスや塵を生み出している。PHOTOGRAPH BY NASA 2/7こちらは「はくちょう座OB2星団」だ。この星々の共同体には、太陽よりもはるかに大きい恒星が含まれている。わたしたちを照らす太陽や、それと似たような恒星には、100億年ほどの寿命がある。だが、2倍の温度で燃えるろうそくと同じように、大きい星ほど寿命が短く、強力だが数百万年しか生きられない。にもかかわらず、明るく輝くそうした星々は、猛烈な突風を送り出し、ガスや塵を高速でまき散らす。そこから生じるX線放射の輝きのおかげで、NASAのチャンドラX線望遠鏡が、こうした非常にダイナミックな写真を撮影できるというわけだ。PHOTOGRAPH BY NASA 3/7月のクレーターは、どれもが同じようにできているわけではない。地球の衛星である月の南極ほど、寒くて暗く、人類にとって過酷な環境はないだろう。だが、それこそまさに、NASAの「アルテミス」計画で2024年までに宇宙飛行士を送り込むとされている目的地だ。いったいなぜ、温度がマイナス233℃まで下がるような場所に、科学探検家を送り込もうとしているのだろうか? なぜなら、そこにあるクレーターには重要なもの、つまり水が存在しているからだ。月面から水を抽出する方法を調べることは、将来の長期的な有人探査に向けた最重要事項だ。PHOTOGRAPH BY NASA 4/7「アポロ11号」の月着陸から50年となる記念日に、国際宇宙ステーション(ISS)に向けて新たなクルーたちが向かった。宇宙飛行士たちは、ロシアの宇宙船「ソユーズ」先端のカプセルに乗り込んでベルトを締めてからわずか6時間後、地球の上空およそ254マイル(約409km)にあるISSにドッキングした。日曜日の過ごし方としては、じつに悪くない。PHOTOGRAPH BY ESA 5/7この水色の天体は1個の星のように見えるかもしれないが、実際にはおよそ1,000万の星々が密集した「オメガ・ケンタウリ」(ケンタウルス座オメガ星団)と呼ばれる星団だ。こうした天体は球状星団と呼ばれ、重力によってひとつにまとまっている。そして球状星団は通常、ガスや塵をほとんど失った、極めて年老いた恒星のみで構成されている。あとに残された星々が、球状にぎゅっと寄り集まっているのだ。目が慣れてきたら、個々の星を表す点が見えてくるかもしれない。オメガ・ケンタウリは、地球から16,000光年離れた天の川銀河のハロー(銀河全体を包み込むように、希薄な星間物質や球状星団などがまばらに分布している球状の領域)に存在している。PHOTOGRAPH BY ESA 6/7美しい対称性。ここに写っているのは、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた渦巻銀河「NGC2985」だ。この銀河は、宇宙でもひときわ均整のとれた渦巻銀河のひとつに数えられる。「おおぐま座」に位置するこの銀河は、7,000万光年離れた宇宙の静寂のなかでゆっくりと回転しているように見える。まばゆく輝く星々と塵からなる腕に加えて、明るい銀河核も、この写真の美しさをいっそう高めている。PHOTOGRAPH BY ESA 7/7火星の北極冠は、しばしば地球の北極と似た姿をとる。滑らかな氷の地形は、季節の移り変わりとともに、溶けては再生される。写真のなかの波のような領域は、火星の谷底にある砂丘だ。地表面下の氷が昇華して消え、地面に跡を残すことで、こうした模様が生まれる。PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH

宇宙を巡る旅には、驚くべき光景がつきものだ。今回の宇宙ギャラリーでは、可視光スペクトルだけでなく、小粋なX線ヴィジョンでも天体を観察できる特別な宇宙ゴーグルを装着してみよう。

「“宇宙ゴーグル”をかけて、星明かりを浴びよう:今週の宇宙ギャラリー」の写真・リンク付きの記事はこちら

まずは、国際宇宙ステーション(ISS)に6カ月滞在するために向かった3人の新たなクルーの幸運を祈ろう。偶然にも、この宇宙飛行士たちが地球を出発したのは、「アポロ11号」の月着陸から50年となる記念日だった。カザフスタンの発射台から6時間の旅を経て、地球上空250マイル(約400km)以上のところにあるISSまでたどり着いた。

その距離も月までの距離に比べれば、ごくわずかにすぎない。月では、将来の宇宙飛行士の着陸候補地を偵察してみよう。常に影に覆われ、水の氷が大量に存在する複数のクレーターが存在するところだ。

そのあとは、「オメガ・ケンタウリ」(ケンタウルス座オメガ星団)と呼ばれる球状星団を眺めよう。拡散した光を発するこの奇妙な天体は、実際には星々が自らの重力によって密集した星団だ。球状星団はその点で独特だが、星団を構成する星のほとんどが年老いた星だという特徴もある。そうした年老いた星は、ガスと塵をすべて失い、くっきりとした光の点だけをあとに残す。

宇宙をさまよいながら、星の形成領域と、驚くほど明るい光を放つ星々を追跡することで、X線観測衛星「チャンドラ」の打ち上げ20周年も祝福しよう。チャンドラのような望遠鏡は、太陽よりもはるかに大きい大質量星が生み出すX線放射をとらえることができる。そうした大質量星は、わずか数百万年の寿命のあいだに、ガスや塵を宇宙にまき散らす。

目を離せないって? その気持ちはよくわかる。こちらから、『WIRED』の充実した宇宙写真コレクションを堪能しよう。