7月11日にU-17ワールドカップの組合せが決まり、日本(アジア1位)は、アメリカ(北中米2位)、セネガル(アフリカ5位)、オランダ(欧州1位)と同じD組に入った。
 
 欧州王者のオランダ以外も強敵だ。アメリカは北中米予選のメキシコ戦で、試合を優位に進めた実力派。セネガルは昨年に仙台で行なわれたU-16インターナショナルドリームカップで対戦して0-2の完敗を喫した相手だ。
 
 森山監督は「これ(組合せ)は、かなり楽しい……(苦笑)。オランダはたぶん、今大会で最強。ただ、一発目に戦えるのは、大きい。勝点を取れれば上出来。取れなくても、修正して2試合あるので、決勝トーナメントに進んだときに『オランダよりマシ』と思って臨めるのは悪くない」と、強敵揃いの組であることを認めた上で、持ち前のポジティブシンキングを示した。選手も強豪相手は、望むところ。展開力に定評があるMF山内翔(ヴィッセル神戸U-18)は「すごい相手とできる。みんな、楽しみにしている。一戦目で食ってやろうかなと思っています」と意欲を示した。
 今後は、8月中旬に国内でキャンプを行なう。選手個々がワールドカップでプレーすることを念頭に置いて課題に取り組み、最後の最後までメンバーに生き残るために競争を続けることで、レベルアップを図る。
 
 9月にはオランダ遠征を予定していたが、予定変更の可能性がある。当地で練習試合を組むはずだったオランダとワールドカップで同組になったからだ。ポジティブな姿勢を崩さない森山監督は「また強い相手とできない。このチームは『トラブル・ジャパン』。アジア予選でもバスが来なかったり、練習場をたらい回しにされたり、雷で中止になったり……。全然強い相手とやらないまま、本番で一番強い相手とやるというトラブルも、自分たちの栄養に変える。頼もしいのは(いままでの経験があり)トラブルがあっても『そんなの当たり前じゃん』という気持ちで臨めるところ」と、あらゆる経験を成長材料にするつもりでいる。
 
 2年前にインドで開催された同大会で、日本は決勝トーナメント1回戦でインドグランドにPK戦で敗れたが、当時の経験を持つ久保建英(レアル・マドリー・カスティージャ)、菅原由勢(AZアルクマール)が世界に羽ばたいており、福岡慎平(京都サンガ)や鈴木冬一(湘南)ら多くの選手がJリーグで活躍している。森山監督は「ワールドカップは、選手が1試合ごとに成長するし、成長角度も上がる機会。今回も、ああいうヤツらが出てくるように、1試合でも多く経験させたい」と、次代のフル代表への飛躍を期待している。
 
 ブラジルで強敵揃いのグループを突破するため、U-17日本代表は、課題もトラブルもすべて踏み台にして突き進んで行く。
 
取材・文●平野貴也