図書館「やめて、三角コーン壊さないで!」 →あの漫画家から新品コーンが届いてしまう
【悲報】
近頃、当館の安全を守る三角コーンが相次いで交通事故に遭っています。残念ながら当館の館長には、市立小樽図書館の館長さんのように、サイン付きの三角コーンを豊富にお持ちの義理の息子さんは存在しません。車でのご来館の際には、三角コーンの安全にもご配慮頂きますよう、お願いします。
2019年6月18日13時半ごろ、群馬県の渋川市立図書館は上記のようなツイートを投稿した。添付された画像の三角コーンは下の方にひびが入り、車両と衝突したことを伺わせる。
渋川図書館に届いた三角コーン(画像は渋川市立図書館提供)
一見すると三角コーンにぶつからないよう呼び掛けただけの投稿。しかし驚くべきことに同日21時ごろ、「サイン付きの三角コーンを豊富にお持ちの市立小樽図書館館長の義理の息子」本人からリプライ(返信)が寄せられた。
やしろあずき「サイン入りの三角コーンを豊富に持っている者なのですが、寄贈しましょうか?」
元のコーンも「使えなくなるまで使います」
傷ついた渋川図書館の三角コーン(画像は渋川市立図書館公式ツイッターより)
そう、小樽図書館館長の義理の息子とは、漫画家のやしろあずきさんのことだ。やしろさんの元には、数年前のある出来事をきっかけに三角コーンが大量に送られてくるようになり、これまでにも日本盲導犬協会や公共施設に無償で提供してきた。
実はやしろさん、6月18日のブログで小樽図書館館長が義理の父であること、サイン入りの三角コーンを寄付し展示されたことを明かしている。どうやら、渋川市立図書館の担当者は、このブログを読んで冒頭のツイートを発信したらしい。
6月19日、Jタウンネットはツイートを投稿した渋川市立図書館の広報担当者にその意図を聞いた。
「ツイートにもあるように、駐車場に置かれた三角コーンに最近傷が増えてきたため投稿しました。車同士が避けるためにぶつかったと思うのですが、最近は交通事故が多いこともあり、高齢者だけでなく若者にも気を付けてほしいと思いました」
サイン付き三角コーンを豊富にお持ちの漫画家さん、一体何者なんだ...... pic.twitter.com/kFYBpAYy0i
— やしろあずき@3日目 西A-26a (@yashi09) 2019年7月2日
三角コーンが代名詞のようなやしろさんをうまく活用した今回のツイート。もしや担当者はやしろさんのファンなのだろうか... 聞いてみたところ、やはり「前々から楽しくブログを見ています」とのことだった。
「(小樽図書館に関するくだりは)わかる方だけわかっていただければと。『どういう意味なんだろう』と考えるクイズのようなつもりでした。(やしろさんのリプライは)ご本人のお目に留まると思っていませんでしたので、ただただびっくりしております」
やしろさんはその後のリプライで三角コーンを送る準備を進めている様子が伺われる。三角コーンが届いたらどうするのか、聞いてみると、
「傷ついたコーンはこれまで図書館を守ってきたコーンなので、使えなくなるまで使います。やしろさんのコーンは駐車場や館内、冬季は落雪の可能性がある場所などに、その都度配置していくつもりです。もしサイン入りのものがありましたら、展示もするかもしれません」
とのこと。やしろさんの三角コーンに喜ぶだけでなく、これまでの黄色コーンへの愛着が感じられた。
そして7月2日――。渋川図書館に、やしろあずきさんによるサイン・メッセージ入りの三角コーンが到着した。同時に、小樽図書館とのコラボ展示(観光ポスター・パンフレット、関連書籍の展示等)を行うという。三角コーンは7月9日〜8月31日まで、館内に展示される予定だ。