財布の1円玉、5円玉が高額取引される日はくるのだろうか

写真拡大

 10月から消費税10%は実施されるのか──。リーマン・ショック級の出来事がないかぎり増税されるはずだが、改元前、自民党の萩生田光一幹事長代行が「違う展開はある」と話したため混乱を招いている。

 もし、消費税が10%に上がり、端数が出にくくなって使う機会が減りそうなのが1円玉と5円玉だ。

市場流通は夏以降

 令和元年の1円玉、5円玉はどれだけ製造されるのか。

 財務省の担当者によると、その年に製造する硬貨の枚数は毎年、年度初めに財務省が発表する。今年度の計画では1円が100万枚、5円が5600万枚(5月5日現在)となっている。

「流通動向や先行きなどを見越して最終的な枚数を決め発行します。1円、5円に関しては貨幣セット用の硬貨だけ製造し、流通用の製造はなかった年もあります」(財務省の担当者)

 昨年度も1円は当初計画では100万枚とされていたが最終的に製造されたのは貨幣セット用の約44万枚のみだった。

 計画のうち、何枚が令和元年と刻印された1円、5円になるのか。造幣局の担当者に聞くと、

「令和の硬貨は金型の製作中なので市場に流通するのは夏以降になるでしょう。具体的な枚数は明らかになっていません」

 さらに、

「年が明ければすぐに令和二年の硬貨の製造が始まります」(前出・造幣局の担当者)

 そうなれば令和元年の1円、5円は半年程度しか製造されないことになる。のちのち値打ちが出る可能性は高い。

「増税や電子マネーの普及で1円、5円の流通が減ると、造幣量が減少する可能性はあります。製造枚数が少なくなるほど貴重になります」

 と説明するのは古銭や古紙幣などの買い取りを行う「おたからや」(本社・神奈川県)の谷光晃さん。

 1円、5円は需要が減るだろうし、特に発行枚数が少ないことが予想される令和元年の1円がゆくゆくは1万円に、なんてことはないだろうか。

「発行枚数が10万枚に達しなければ可能性はあるかもしれませんが、さすがにそこまで減らさないでしょう」(前出・谷さん)

 と苦笑する。

 しかし、過去に発行された硬貨の中には高額で取引された例もあるという。前出・谷さん。

「1987(昭和62)年度製造の貨幣セットに入っている50円玉が1500円ほどで取引されたことがありました。この年の50円玉は流通用の製造がなく、発行枚数が少なかったことが理由。セット用しか製造しなかった年の硬貨は価値が高い」

 令和元年の1円、5円も発行枚数によっては“記念”でとっておいたものが将来多少は価値が出る、かもしれない。