かつて教習車は5ナンバーサイズの四角いセダンが主流だった

 自動車免許を取得するときに多くの人がお世話になったであろう教習車。免許を取得した時代や地域によっても車種はさまざまで、教習車が何だったかという話題は意外と盛り上がるテーマの一つと言える。そんな教習車だが、最近はマツダ車を見る機会が多くなっていないだろうか? 果たしてそれにはどんな理由があるのだろうか?

 そもそも一昔前までは教習車と言えばスタンダードな5ナンバーサイズの四角いセダンが主流だった。車種で言えばトヨタのコンフォートや日産のクルーなど、タクシーにも利用されるような車種が多かっただろう。当然角ばったスタイルだけに見切りもよく、運転もしやすいという利点はあるために長らく愛用されていたという歴史がある。

 その後もトヨタがコロナをベースとしたトヨタ教習車をリリースし、三菱もランサーベースの三菱教習車をリリース。日産も通常にはラインアップのない5速MTを搭載したティーダラティオ教習車をリリースするなど、各社が教習車を供給し続けた時代があったのだ(バブル期にはメルセデス・ベンツやサーブなどにも教習車仕様が存在した)。

教習所はメーカーにとっておろそかにできない顧客

 しかし、徐々に教習車専用車種やグレードは消滅し、最後に残ったのがファミリアの時代から現行のアクセラに至るまで、ほぼ途切れることなく教習車仕様をリリースし続けていたマツダだったのである。

 もちろん、一部の教習車のようにプリウスを教習車にしたり、輸入車を教習車にしたりすることも不可能ではないが、もともと教習車仕様がある車種に比べると圧倒的に導入コストがかかってしまうこともあり、代替えのタイミングでマツダ車に移行したというのが、最近の教習車にマツダ車が多い理由と言えそうだ。

 ただ、近年では再び教習車仕様をラインアップするメーカーが増えてきており、2015年にはホンダがコンパクトセダンのグレイスに通常は設定のない5速MTを設定したグレイス教習車をリリースしたり、昨年にはカローラアクシオベースのトヨタ教習車が登場したりしている。

 そのため、現在のようなマツダ車一色の教習車戦線にも変化が起こるかもしれない。定期的にまとまった台数を導入してくれる教習所は、メーカーにとっては意外とおろそかにできない顧客と言えるのだから。