リサーチとデータ分析を無駄にしないための7つのステップ

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今や、ビジネスを進めるためにマーケティングリサーチとデータの分析は必要不可欠だ。「顧客データ」や「売上データ」は企業にとっての「財産」ともいえる存在であり、そのデータをいかに料理するか(分析するか)によって企業の方向性にも影響を及ぼすことになる。

しかし、現場から聞こえてくるのは次のような悲鳴だ。

「業務上必要になり、データ分析を始めなければいけないのだが、何をどのように始めたらよいか分からない」
「ただただデータが集まり、お客様の顔がどんどん分からなくなっている」
「とりあえずデータを集めて分析したはいいが、結局何にも使われていない」

こうした声があがる理由としては、需要の高まりに対して、データの扱い方のインプットや体系的なトレーニングを受ける機会が少ない点があげられるだろう。

そこで読んでおきたいのが、マーケティングリサーチを専門に行う株式会社マクロミル 上席執行役員の中野崇氏が執筆した『マーケティングリサーチとデータ分析の基本』(すばる舎刊)である。
中野氏は2005年にマクロミルへ入社後、社初の中国進出に参画。2013年に日本へ帰任し、事業戦略本部長やマーケティング部門の立ち上げ、広報室長などを経てエグゼクティブマネジャーに就任。社会情報大学院大学の客員教授として、リサーチ・データ分析の講義を受け持っている。

■なぜ日々のビジネスにリサーチが必要なのか?

本書はリサーチやデータ分析の教科書的な一冊で、初めてリサーチとデータ分析の業務につく人間でも、実務レベルで使いこなせるようにシンプルにまとめられている。

しかし、そもそも一体なぜリサーチとデータ分析が必要なのか?

その大きな理由の一つは、世の中に多様な価値観が存在できる土壌ができているという点だ。スマートデバイスやSNSの普及によって、膨大な新しいコンテンツが世の中に溢れている。訪日外国人の数も年々増えており、彼らの多様な考えやファッションに触れる機会も増えた。その結果、人々は必ずしもみな同じものを選ばなくなっており、ニーズを塊で捉えることが非常に難しくなっている。つまり、自分の経験や直感だけで判断することが危険になっているということだ。

もう一つは、得られるデータが以前よりも大幅に増えたという点である。私たちの1日の生活の大まかな流れがデータを通して可視化されるようになった。そこには、これまで見落としていた思わぬ発見もあるだろう。それらをリサーチして分析し、企業のビジネス上の課題の解決に用いるのである。

ここで一度まとめよう。
日々のビジネスでリサーチを活用することは以下のような意義がある。

・勘や経験ではなく、客観的な情報や数値で判断できる
・他者の経験から学ぶ、多面的な視点で物事を見ることができる
・思いがけない発見がある
(『マーケティングリサーチとデータ分析の基本』p.22より引用)

客観的な情報や数字を活用して課題を明確にし、ビジネスの意思決定につなげる。これが現代のビジネスを成功させるために必要な要素なのだ。

■ビジネスにデータ分析を活かすための7つのステップ

しかし、いくらリサーチをしてデータ分析をしたとしても、それが徒労に終わってしまうことも実は少なくない。「とりあえず分析すればよい」というものではなく、意思決定者がその分析結果を活用しなければ意味がないのだ。

本書ではリサーチを成功させるための7つのステップがまとめられており、一冊かけてその方法を説明している。ここでは、その7つを簡潔にまとめていこう。

1)リサーチの順番を決める
リサーチテーマが複数ある場合、課題解決のインパクトが大きいものから着手する。

2)リサーチの目的を明確にする
どんなアクションや意思決定をするために、何を収集・分析するのかを明確にする。

3)調査企画を設計する
リサーチの目的を達成するために、何をリサーチすべきかを具体的にする。

4)データを収集する
リサーチ方法は多種あり、それぞれの手法の特徴を使い分けることがポイント。

5)データを分析・解釈をする
データの性質や量によって異なるが、「分析目的」「比較」「構造・構成」「関係性」「分布」の5つは絶対に押さえるべきポイントである。

6)アウトプットを作成する
意思決定者を動かすための重要なフローである。論理だけではなく、情理にも働きかけるアウトプットを心がけて作成しよう。

7)アクションにつなげる
アクションや意思決定につながらないリサーチは自己満足に過ぎない。そうならないためには、意思決定者をリサーチのプロセスに巻き込む必要がある。

この中でも、特に4つめの「データを収集する」はページ数を割かれており、数あるリサーチ方法の中でも「デスクリサーチ」や「インタビューリサーチ」のやり方について詳しく説明がなされている。また、間違いがちな仮説の立て方も丁寧に教えてくれる。

「リサーチやデータ分析を始めたいけれど、何をどうしていいのかわからない」という人をはじめ、自分の今のやり方が合っているのかどうか分からないという人も参考になるはずだ。

(新刊JP編集部)

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