金正恩氏が「のぞき見」にハマっている…「変態的」との批判も
金正恩党委員長が、一般庶民の生活を「のぞき見」している疑惑が浮上した。海外の最高級ブランドに囲まれて贅沢な生活を送っている金正恩氏が、今更なぜ一般庶民の生活を知ろうとするのだろうか。
「喜び組」に多額の金
金正恩氏が、父・金正日総書記や祖父・金日成主席と同様に贅を尽くした生活を送っていることは、金正日氏の元料理人である藤本健二氏の証言や、北朝鮮国内外の様々な情報から漏れ伝わってくる。
英国の大衆紙であるデイリー・メールは、金正恩氏は多額の金を費やして「喜び組」のためのセクシー下着などを輸入し、さらにシャンパンや馬を買っていると報じた。
(参考記事:金正恩氏が大金をつぎ込む「喜び組」の過激アンダーウェア)
金正恩氏は海外ブランドに相当なコダワリを持っている。また私生活での贅沢ぶり以上に、人民大衆の生活を顧みず、核・ミサイル開発に多額の資金を投入して国家経済を圧迫している。
その金正恩氏が、幹部を使って一般庶民が利用する市場をのぞき見していると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。北朝鮮の治安当局が体制維持のため、盗聴、盗撮するのはさもありなんだが、金正恩氏がわざわざ市場の隠し撮りを命令するというのは不可解だ。もしかしたら、少しでも一般庶民の目線に立つ努力をしようとしているのだろうか。
一般人と同じトイレを使えず
RFAの情報筋は、「金正恩氏が7月1日に下した方針を伝達する会議が5日、会寧(フェリョン)市の党委員会会議室で行われた。この日、伝達された方針の内容は、工場や企業所で国内用と輸出用の商品の質と包装を、まったく同じにせよというものだった」と述べた。
注目すべきは、金正恩氏の方針が伝達される際、「(金正恩氏が)該当職員が撮影した平壌東大門(トンデムン)市場、平城(ピョンソン)駅、南浦(ナムポ)市江西(カンソ)市場の映像を見られて下されたお言葉」から始まったという点だ。情報筋は、金正恩氏は「市場に出された商品などの質と包装を、盗撮映像を通じて確認したものと推測される」と情報筋は述べた。
どうやら、隠し撮りの目的は市場の動向を調べて統制することが狙いのようだ。
情報筋は、「金正日時代にも、平壌市の松新(ソンシン)市場を撮影した映像をもとに市場を維持する方針が下された。金正日は住民たちを隠し撮りした映像を見ながら、情勢を判断することが多かった」としながら、「幹部にこっそり撮影させた映像をどれだけ見ようと、情勢を正しく知ることなどできない」と、金正恩氏の姿勢を非難した。
韓国メディアの一部からは、金正恩氏の「隠し撮り」について「変態的だ」との評価や、これまでの恐怖政治に加えて国民の一挙手一投足を監視する「盗撮統治」を目論んでいるのではないかという指摘も出ている。
恐怖政治といえば、金正恩氏は一昨年、スッポン養殖工場を現地指導した際、管理不行き届きに激怒し、支配人を銃殺させた。それだけでなく、そのときの様子を動画で公開した。これは、幹部だけでなく一般庶民にも恐怖心を植え付ける目的があったと見られる。
恐怖政治に加えて、隠し撮りを通じて国民に対する監視をいっそう強めようとしている可能性はある。
金正恩氏は現地指導の際、一般人と同じトイレを使用するのを避けて、代用品を専用車に装備しているという。しかし、どうしてそれほど庶民との間に距離を置こうとするのか。本当に国民の真の姿を知りたいなら、国民の人権と尊厳を重んじた政治を行うことで、一般大衆との距離を縮めることこそ、指導者として必要なことではないのだろうか。