彼が最後にセリエAで白星を手にしたのは、もう約5カ月も前のことになる。勝てない日々が続き、精神が限界に来ているのかもしれない。ジェノアのイヴァン・ユリッチ監督が4月30日の試合後、会見の場で涙を見せて退席した。

昨季、クロトーネをセリエA昇格に導いたユリッチ監督は、満を持して現役時代に活躍したジェノアに指揮官として戻ってきた。出だしは開幕2連勝と好調。前半戦はホームでナポリと引き分け、ミランやあのユヴェントスまで撃破するなど快進撃を続けた。

だが、12月15日のフィオレンティーナ戦を制してから、2016年最後の2試合で連敗すると、ジェノアはここから暗黒時代に突入。2017年になってもまったく勝てない日々が続き、2月19日のペスカーラ戦に至っては、最下位相手に0-5と大敗してしまう。

公式戦で10試合2分け8敗という体たらくに、クラブはユリッチ監督の解任を決定。アンドレア・マンドルリーニ監督を新たに招へいする。新体制になったジェノアは、ボローニャと引き分け、エンポリに敵地で勝利と、復調を遂げたかに思われた。

しかし、希望の光が見えたのは一瞬だった。マンドルリーニ監督は以降の4試合で1ゴールも奪えずに4連敗。低迷から抜け出せず、ジェノアはマンドルリーニ監督にも見切りをつけ、再びユリッチ監督を呼び戻す。

それでも、流れは変わらない。復帰初戦こそ4位ラツィオと引き分けたユリッチ監督だが、続くユヴェントス戦では前半だけで3点を失い、何もできないまま0-4と大敗。4月30日のキエーヴォ戦では、前半終盤に先制点を挙げたものの、後半に2点を許して1-2と逆転負けした。

フィオレンティーナ戦を最後に、ジェノアはセリエAの18試合で1勝4分け13敗と惨たんたる成績。ユリッチ監督自身は、フィオレンティーナ戦から1勝も挙げることができていない。

当然、ジェノアの順位は急降下。残り4試合で16位、降格圏まで勝ち点5差というところまできている。しかも、17位エンポリはここ4戦で2勝1分け1敗。18位クロトーネに至っては、ここ5試合で3勝2分けと絶好調だ。

ジェノアとそのサポーターは、セリエB降格への恐怖を感じている。ユリッチ監督も会見でその恐怖があることを認めた。「復任したことへの後悔はないか」。記者の質問に「まったくない」と強調したユリッチ監督だが、気持ちを保つことができなかったのだろう。「困難にある私のチームは…」と言いかけたところで声を詰まらせ、こらえきれずに自ら会見場を後にした。


ジェノアは7日の次節、同じく不振で批判を浴びているインテルと対戦。その後、降格決定が目前のパレルモ、そしてトリノと対戦し、最終節では敵地でのローマ戦に臨む。ユリッチ監督とジェノアは、A残留を勝ち取ることができるだろうか…。