愛知にある貴重な「瓶チェリオ自販機」が、故障により撤去へ... 失われつつある昭和の思い出
acac(@aichiron15)さんのツイートより
昭和の面影がまた1つ失われようとしている。
「瓶チェリオ自販機は修理の目処が立たないそうです...」
ツイッターで2017年4月22日、こんな書き込みがあった。
「瓶自販機」は何台現存しているのか、チェリオ中部に聞いてみた
瓶チェリオ自販機は修理の目処が立たないそうです... pic.twitter.com/HbEcJq4g1L
— acac (@aichiron15) 2017年4月22日
投稿者のacacさんがいう「瓶チェリオ自販機」は、写真の自動販売機を指している。貼り紙で見えないが、清涼飲料メーカーのチェリオコーポレーションが販売する炭酸飲料「チェリオ」の「リターナブル瓶」(296ミリ)がその下に隠れている。愛知県名古屋市にある「森吉商店」の店頭で撮られたものだ。
チェリオのリターナブル瓶はかつて、自動販売機と店頭で売られており、1975〜85年頃まで、駄菓子屋で子どもたちに人気の飲み物だった。ペットボトルや缶の飲料が増え続けた結果、ほとんど見られない代物となってしまった。
インターネット上では今や、昭和を語り継ぐ貴重なアイテムとして認知されている。Jタウンネット編集部がチェリオ中部の広報担当に、「瓶チェリオ自販機」が何台現存しているかをたずねると、「お客様の情報なので、お教えすることは致しかねます」と返答があった。そのため正確な数は分からないが、ネット上では「あと1台」などと臆測が入り乱れている。
そんな「瓶チェリオ自販機」の修理の目途が立たなくなっている――Jタウンネット編集部は4月27日、森吉商店に電話で話を聞いてみた。
「8月まで機械だけ置いておきます」
森吉商店のご主人に取材すると、自販機が故障しているというツイートの情報に間違いはなかった。
「壊れてしまったから、中で(瓶を)冷やしているのですよ」
写真のように、自販機には「チェリオのじゅうすは店内にあります」と貼り紙をしているのだという。
店主は、故障の原因は自販機内の部品にあると言う。「代えの部品がないから、どうすることもできません」と話し、
「8月まで機械だけ置いておきますが、それも撤去します」
と打ち明けた。
「瓶チェリオ」の種類は、グレープ、アップル、オレンジの3つで、値段は1本90円だ。
記者が「あと(『瓶チェリオ自販機』は)ここだけかもしれない」と話すと、店主に「ネットで2台しかない、と見ましたよ」と返された。きっと本人もこの自販機が希少であると認識しているのだろう。
「私ら80過ぎているから(詳しいことは)分かりませんわ」と言いながらも、丁寧に取材に答えてくれた店主は、
「もうすぐゴールデンウィークですから、全国からたくさん人が来てくれると思います」
と最後まで前向きに語っていた。
昭和の思い出が消えると思うとさびしくなるが、まだ時間はある。近隣の読者はぜひ、8月までに訪れてみるといいだろう。