「ひよっこ」4話。視聴率微増「あまちゃん」夏ばっぱ効果か

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連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第1週「お父ちゃんが帰ってくる!」第4回 4月6日(木)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:黒崎博  視聴率:19.7%(ビデオリサーチ社調べ 関東地区)前日比↑


4話はこんな話


秋、出稼ぎから茨城の家に帰る途中、美味しい洋食を安いお値段で出す店・すずふり亭に立ち寄った実(沢村一樹)。はじめて食べるハヤシライスに舌鼓を打つ。

視聴率微増19.7%。


初回20%割れ! とネットニュースはそればかりだった『ひよっこ』、2話も18.8%で心配されたが、4月5日放送の3話は19.7%と上がってきた。
お父さんがダメ父じゃないし、子供はいい子だし、自然の風景は和むし、ほのかなユーモアはあるし、食堂も出てきたし、どこにもいやな要素はみつからない。
6日放送の4話では、ハヤシライスのポークソテーなど美味しそうな洋食と並んで、人情も出てきて、高感度はアップするばかりだ。職人ぽい佐々木蔵之介の佇まいもすてき。

東京を嫌いにならないでください


きどらない庶民的な店とはいえ、はじめて入る洋食屋でおどおどする実に、店主の夏ばっぱ(イノッチが朝ドラでついそう呼んでしまっていた)鈴子(宮本信子)が優しく話しかける。
「(出身は)どちら、家族は、お仕事はどちら」と矢継ぎ早に質問し過ぎではとも思うが、鈴子のもつ知性と上品さが緩和する。相手を知りたいという態度を示すことで緊張をほぐすためなのだろう。田舎者と距離をとるのが一番よくないから。
聞かれると嬉しくて、ついついしゃべってしまう実。
国立競技場の現場にもいた、とちょっと誇らしげに言ってしまった自分に羞恥心を覚えると、鈴子は「自慢して下さい、あれは俺がつくったんだって」と発破をかける。

「東京オリンピックとか言って」(←「とか」に批評精神がある)
「東京東京って東京だけがすごいみたいに浮かれてるけど、違うと思うね私は」
「みなさんがつくってくれたものじゃないですか」
 などと地方都市の方々に敬意を示し、
「東京嫌いにならないでくださいね」とポークカツサンドで懐柔する(言葉悪いですね、冗談です。親切心以外の何ものでもないと思います)鈴子。

2020年の東京オリンピックに向けて国民の意識を東京とオリンピックに向けたい!
でも、東京オリンピックとか と思っている人も少なくないから、その人たちにも配慮しなくてはならない!
作り手の葛藤渦巻く場面でした。
しかも、あさイチでは、大阪推し。どこまで配慮しているのかとひと妄想。

東京と地方都市の埋められない溝に関するエピソードは、2001年に岡田惠和が書いた『ちゅらさん』でもあった。沖縄から出てきた主人公が “東京の人“とひとくくりに捉えると「”東京の人“なんていう人間はいないの」(みんなそれぞれ違うのだという意味)と言われたり、沖縄出身者が東京を悪くいうことを東京出身者が怒ったり。このときは、沖縄を舞台にしたドラマだからといって、沖縄はいいけど都会はダメという単純な図式を避けたいという意識があったと思う。今回も、その気持は変わらないようだ。

なれないけど。


帰ってきたお父さんを花束で迎える子供達。なんて純真! 心が洗われる。
まず、土を触りたがる父を見て、
「自分が総理大臣とかになって農家の人が農業ができるようにしたいと思いました」
と思うみね子。
こうして、将来政治家を目指す物語かと思わせて(思わないけど)「なれないけど」で落とす。
ほのぼのドラマじゃないですか。

とにかく純朴で勤勉そうな沢村一樹の好感度がものすごく上がっている。
(木俣冬)