ヤンキース・田中将大【写真:Getty Images】

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日米球界で圧巻の勝率7割超え、早くもダルビッシュにあと1勝

 メジャー3年目の昨季、初めてシーズンを通して先発ローテを守ったヤンキース・田中将大投手。大台の200イニングにはわずかに届かなかったが、自己最多14勝を挙げ、防御率もリーグ3位の3.07をマークした。シーズン中には米メディアの間でサイ・ヤング賞候補にも挙げられるなど飛躍の年となった。

 1年目に右肘を負傷したこともあり、健康面を不安視され続けてきたが、昨季の内容により周囲の見方も一変。3年前に7年総額1億5500万ドル(約181億円)の大型契約を結んでいるが、今オフは現地で「過小評価」の声すら持ち上がるほど、その評価は高まっている。

 田中が3年間で残した成績の中で注目を浴びる数字の一つは先発登板時の「勝率」だ。米CBSスポーツ電子版は今オフに掲載した記事の中で、今季田中が先発した試合の勝敗を紹介。それによるとヤンキースは昨季、田中が投げた試合で23勝8敗、それ以外では61勝70敗だったという。これを受け、CBSスポーツは「球界におけるディファレンス・メーカー(違いを生み出す存在)と言える」と評している。

 確かにこれまでの田中の勝率を振り返ると、歴代の日本人投手の中でもトップクラスに位置する。楽天時代は7シーズンで175試合に登板し、99勝35敗3セーブ、防御率2.30で勝率.739だった。メジャーでも通算3シーズンで75試合に登板し、39勝16敗、防御率3.12、勝率は日本時代から大きく落ちることなく.709と勝ち星を挙げる割合は極めて高い。

歴代投手の中でも際立つ勝率、渡米後も勝率は大きく下がらず

 NPBで過去2000投球回以上に登板した投手の中で歴代1位の勝率は藤本英雄の.697(200勝87敗)。2位以下は稲尾和久の.668(276勝137敗)、斎藤雅樹の.652(180勝96敗)、杉内俊哉の.648(142勝77敗)、杉浦忠の.638(187勝106敗)と続く。田中は日米通算で1805投球回と200イニング届いていないものの、ここまで138勝51敗で勝率.730と圧巻の数字を刻んでいる。

 勝ち星を積み上げるペースも当然速い。2年先にプロ入りしたダルビッシュ有(レンジャーズ)は日米通算で139勝68敗(勝率.671=1914投球回)。先輩右腕が右肘の手術で2015年シーズンを全休しているとはいえ、実働10シーズンの田中は同11シーズンのダルビッシュの勝ち星まであと1勝と迫っている。

 過去、日米球界で活躍した主な日本人投手を振り返っても、野茂英雄は201勝155敗(勝率.565)、石井一久は182勝137敗(勝率.571)、松坂大輔は164勝103敗(勝率.614)、黒田博樹は203勝184敗(勝率.525)、岩隈久志は170勝106敗(勝率.616)、和田毅は127勝71敗(勝率.641)、前田健太は113勝78敗(勝率.592)。田中の7割超えがいかに飛び抜けているかが分かる。

 2017年シーズンオフにフリーエージェントとなる見通しのダルビッシュは今後メジャートップクラスの大型契約を手にするとの予測が出ているが、田中も同じタイミングで契約破棄を行使する権利(オプトアウト)があるため、その動向が注目されている。田中は新シーズンでダルビッシュを上回る活躍を見せ、勝ち星、評価ともに先輩超えを果たすのか――。メジャー4年目を迎える28歳の飛躍が注目される。