運航ミス続出で大荒れとなった日本航空の第3回定時株主総会(撮影:吉川忠行)

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運航上のミスやトラブルが相次ぐ日本航空<9205>は28日、東京都千代田区のホテルで定時株主総会を開き、冒頭で新町敏行社長は「安全運行の堅持は存立基盤そのもので、社会的責務。深く反省するとともに、社会にご迷惑とご心配をかけた」と謝罪した。参加した株主数は、日本エアシステムと統合した2002年以降で最多となる2575人だった。

 質疑応答では、計14人の株主が質問に立ち「事故の続発は社員が個々の仕事に無責任だから」「安全なくして、日航の存続なし」「ルールはあるが守ることができない」などと経営陣に対する批判的な意見が続出。議長を務めた新町社長が「ご静粛に」と何度も事態の収拾を図り、大荒れの総会となった。

 新町社長は社長就任直後の6月上旬、1985年に同社機が墜落し520人の犠牲者を出した群馬県の御巣鷹山に慰霊登山した。そのときの心境を株主に問われ、新町社長は「痛ましい事故を決して風化させることなく、全社員が常に肝に銘じ、トラブルを解消し、お客様の信頼を勝ち得たい」と答えた。また、安全推進部担当の松本武徳常務は、トラブルが続いた原因を「トップと現場の距離が遠かった」と説明し、「安全を守るための対策を現場から吸い上げ、ヒューマンエラーの撲滅に努力する」と話した。

 同総会は2時間45分に及んだ。日本航空の株主総数30万2353人のうち、議決権行使株主数は7万7049人、行使議決権数は13万5851個。5月末に引責辞任した兼子勲前会長への退職慰労金贈呈に関する議案を含む全5議案が賛成多数で承認された。【了】

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